ペットボトルで水を沸かす

人間が生きるためには水が必要だが、その水はいつだって人間に優しいとは限らない。目に見える水害だけでなく、目に見えない細菌や微生物の汚染によっても水は人間に牙をむく。であるから、水を得る際にはその安全を確保するために浄水をする必要があるわけである。

その方法には例えば浄水器を使ったり、浄水剤(殺菌剤)を使うなどがあるわけであるが、一番原始的で、しかし効果が高いものに煮沸という方法がある。つまるところ湯を沸かすというわけであるが、高温によりほとんどの病原生物が死滅するうえに冬季では温かな湯が得られるという利点もある。

しかしながら煮沸するには鍋が必要である。アウトドアなどでは十分装備を持っているから鍋は持っていて当然であるが、サバイバルではもしかすると持っていないかもしれない。そうするとそこにあるものでどうにかこうにかやりくりする必要がある。まずは金属の缶があればそれで湯が沸かせるが、それもなければ可燃性のものでもかまわない。薄くて水を通さず器の形状であれば理論的には十分である。ペットボトルで実践している動画を見つけたので紹介しよう。

内部の水が容器を冷やし、沸騰中でも100℃を大きく超えないために着火・発火・燃焼をしないから、水の煮沸に利用できるのである。他にも紙コップや木の皮をカップ上にしたものなどが利用できる。ただし、注意するべきこともいくつかある。水に触れてない部分は冷却されていないので燃える可能性があること、薄すぎると沸騰中に水蒸気の気泡が出来た場所が燃えて破れること、プラスチックでは100℃以下でも柔らかくなり容器の形が保てなくなる可能性があることなどである。実際動画中では、水を出来るだけいっぱい入れて上部に火がかかり過ぎないように気をつけていたし、ボトルの変形が見受けられる。

化学的考察と創意工夫で一見不可能なこともやり遂げられる良い例だと思うが、もちろんちゃんとした道具があるにこしたことはない。鍋を用意した上で無くても何とかなる知識を持つことで、一段上の心の余裕を得ることが出来るだろう。

trangia(トランギア) メスティン TR-210 【日本正規品】

新品価格
¥1,620から
(2015/1/12 23:08時点)

どんぐりのパンをつくる

森でのサバイバルで食料調達を、というと、一般的な日本の義務教育を十分に受けたならば縄文時代の食生活を思い出す方も多いのではないだろうか。かつては原始的な狩猟採集を行っており、獲物をとり、また木の実などを採集して暮らしていたのである。現代人が行うときには、狩りも十分技術があればできるだろうが季節が合えば採集の方がより確実に安全に得ることが出来るだろう。

採集物は様々なものがあるが、よく実践されている物にどんぐりがある。どんぐりは一つの木の実の種類を言うものではなく、総称であるが、形や性質の似ているブナ科の木の実であり、ほぼ同一の作業によって調理して食される。今回はその一つの形、どんぐりパン(acorn bread)を作っている動画を紹介したい。

動画中ではもう殻が取られた状態だが、その前に殻を割って中身を出す必要がある。これは石の台にのせて石で叩くとか、ツールナイフのペンチを使うとか、歯で噛み割るなどで取り出すことが出来る。そして、中身をしっかりと選別する必要がある。虫に食われていたり内部が変色しているものは外さなければならない。その部分に有毒な物質、カビ等が存在する可能性があるからだ。

そうして選別された実は砕かれた後に布に包んで水に何度かつけられて絞られる。これは渋抜きのためである。布の目の細かさの関係でいくらか流れてしまうし、栄養も一部流れると思われるが、このように砕いてから絞るように渋抜きすることで短時間で渋抜きが完了する。砕かない実のままでは樹種によるが物によっては1週間流水にさらさねばならないものもある様である。

その後、絞った後の実の粉に少量の調理用の水を加えて形を整えて焼く。焼き方は動画中では石にのせて火の周りで時に動かしながら焼いているが、ほかに木の板にのせてあぶるように焼いたり、棒に包むようにつけて焼いたりと工夫の余地があるところだろう。焼きあがると生地がナイフや串を刺してもつかなくなる。これはよく菓子作りでも言われることであるが、こうなれば完成である。

どんぐりは生で食べようとすると、中にある渋(タンニン)が有毒で、大量・長期の食料には出来ないが、適切に処理すれば人類を一時期メインで支えてたくらいには優秀な食料となる。最新の備蓄食だけでなく、温故知新で自然界にも食料を求められる頭をもっておきたいものである。

新年もサバイバルの心構えを忘れないようにしよう

2014年最後の更新です。今年一年通して、コンスタントに見てくださった方々に感謝申し上げます。来る年でもよろしくお願いいたします。

さて新年にもサバイバルは身近なところから始めるべきだろう。新年の行事や事物にもかなり色々な危険が潜む。伝統的な遊びをしようと思えば凧揚げがあるが、これは電力会社が大きく宣伝公知をしているが、電線への接触などによる事故の危険があるし、食についても餅を食べる機会が多くなる。餅は流動的な粘性の高い食品であり、これは喉につめて窒息の原因となりうる。これらのことはもはや広くに知られているにもかかわらずそれでもなお事故は起きており、死者もなくならない。

新年の事故がなくならないのは、自分はそうならない、自分たちには関係ないと思うことが原因であろう。事故の話を聞いても他人事であると十分知識を受け取れないものである。suvtechを御覧の諸氏は自らサバイバルの知識を得られようとしている方々であるからそういった心配はないだろうが、やはり主体性を持って知識を得るというのは重要なことである。

新年といって浮き足立ったりせず、心構えは安全第一のサバイバル状態で来年一年のりきってもらいたい。