一昔前は鍋や焼肉を家庭でするとなればカセットコンロを持ち出してきたものであるが、電気式の調理器の普及でホットプレートなどに取って代わられた感がある。しかしながら、カセットコンロは大変に有用で一家に一台あって損はない。
カセットコンロは取替え式の小さなガスボンベ(カセットガス)を使用する持ち運び可能なガスコンロである。前述したように、家庭の食卓で調理・加熱しつつ食べる際や、アウトドアなどで調理する際に利用することができる。大きな設備が必要なく、また電力に依存しないカセットガスは、日常での利用だけでなく災害用品としての機能も優れているのである。
災害時には様々なインフラが破壊される。ライフラインと呼ばれるものは多くが寸断されることを覚悟しておかなくてはならない。電気・都市ガス・水道が代表的なものだ。
電気・都市ガス・水道のどれもが供給基地から緻密な供給路を通って家庭まで届くものであるから、供給路の遮断・破壊がどこかしらで発生すれば一気に供給機能を喪失する。そうしたときの復旧は困難を極める。地上に配線が出ている電気の復旧でも少なくとも3日ほどはかかり、ガスなどの配管は余計に時間と資材が必要である上に地下にあるので破損箇所の確認すら大変な作業である。
その間の調理などの熱源をどうするかという問題を解決するために、選択肢の一つとしてカセットコンロを用意するのがよいのである。
他に調理の熱源として挙げられるのは焚き火や炭火である。七輪やバーベキューコンロなどを使って行えるこれらの火は、燃料が豊富に得られ、持続性は高い。他にもロウソクの火を使ったり、植物油でランプを作り、その炎を使った例などがある。しかしながら、例えば焚き火、炭火は換気のよいところでなければ一酸化炭素中毒の危険があり、また、ロウソクや植物油ランプは火力不足や事故の危険が付きまとう。
家が幸いにも残った場合は室内で調理をしたいという場合も多いだろうと思うが、そういうときに、カセットコンロが有れば他の方法よりもより安全に火を使って調理することができる。最近では従来型よりも燃費がよいタイプのカセットコンロも出てきているので、すでにカセットコンロを持っている家庭でも、災害を見据えた機器の再選定をしてみてはどうだろうか。
(注意:発生の度合いは少ないとはいえカセットコンロも火をつかうものであるので不完全燃焼による一酸化炭素の発生には気をつけなければならない。通常ガスの火は青いが、赤くなったら危険である。災害時には家全体の換気システムが停止することもあるから定期的な換気を心がけよう。)
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