痛みは生存に必要な警告信号であり、肉体からの叫びである。これなくしては人間の体は耐久力の限界を超えてすぐに崩壊してしまうであろう。
しかし、そういった痛みも極限の状況では邪魔になってしまうことがある。例えば、骨折をしてしまったとき、それ以上悪化しないように固定だけをして逃げ出さなければならないときに、痛みはその移動速度を鈍らせる。また、痛みは感覚を高ぶらせ、痛みによる苛立ちは正常で冷静な思考の妨げになる。
そういった場合の痛みを取り除き、もしくは和らげるものとして、鎮痛剤がある。正確には解熱消炎鎮痛剤であり、活動の妨げとなる諸症状を緩和できる。身近で一般的な薬物であり、広告はよく目にすることがあるだろう。一般的には頭痛薬や解熱剤として利用されるものである。
アセチルサリチル酸を含むものやアセトアミノフェン、イブプロフェンなどを含むもの、すべて解熱鎮痛剤であるが、一般的に広く使われるような薬剤であるがゆえに、効果は解熱や頭痛に十分効くとはいえ、マイルドなもので、例えば激しい歯の痛みなどには効きが弱い。骨折などの大怪我の痛みを退けるためにはさらに強い薬が必要だ。
たとえば、戦場でひどい怪我を負ったときに応急処置的にモルヒネを投与されることがあるらしい。これはオピオイド系鎮痛剤で、がんの痛みをも和らげる強力な鎮痛剤である。しかし、そこまできつい薬は一般人には使用どころか所持も許されていないし(大体において訓練を受けてないものではそこまでの怪我を負えば活動不能であろうから)そこまでの薬は必要ではない。
一般人が入手できるものでは、市販の一般的な鎮痛剤よりも一段強い薬として、ボルタレンとロキソニンが多く処方されている薬としてある。一昔前ではどちらの薬も処方薬であり、医師の処方箋がなければ手に入れられなかったが、現在ではロキソニンが薬剤師のいる薬局や薬店で入手可能である。薬の強さとしてはボルタレンのほうが若干強いが同時に副作用もきついのでよろしくないし、ロキソニンで十分に効き目がある。ロキソニンは一般的な鎮痛剤と同じ用途にも使われるが、そのほかにも歯痛や骨折痛への使用もされる。
ただし、用法用量は守ること。用量以上飲んだところでさほどの効能は向上しないし副作用が大きく出るからだ。また多用することは他の以上を見逃す原因となるので、痛みが激しいときのみに限定するとよいだろう。解熱鎮痛剤は無理するときには便利な薬であるから、使いどころをよく考えて上手に使えるように考えておきたいところだ。