水を得るために - 簡易浄水器を作る

人間の生存に水は必須である。とはいえ、生水を飲んでは様々な細菌を初めとする病原生物により体調を悪くし、水分を取ったつもりが脱水症状の原因になり、また、悪い場合には命にかかわる症状を引き起こすこともある。

そういったことを防ぐのに一番単純な方法は煮沸であるが、それには燃料が必要であるし、沸かす道具が必要だ。また、煮沸する時間は短いと言いきれないほどには長い。つまるところ煮沸による飲料水の確保は多大な労力を要するということである。可能であるならば浄水器を利用したい。

しかしながら、その浄水器は文明の産物だ。しっかりと確実に病原体を除去する浄水器は手軽に持ち運べるが、そもそもそれを携帯していない場合には使用はできない。

そういったときには有るもので浄水器を作ってしまおう。簡単に手にはいる物でも意外としっかりとした浄水器を作ることができる。

この動画では、ペットボトルの底を切り、口の側から砂利・砂・炭・砂・草と詰めている。砂利は砂が落ちないようにするため、また草は大きなゴミをとり、また他のつめている物が落ちないようにする蓋の役目をしている。初めは使用したものの汚れが出てくるが、水を通しているうちに自らがろ過した水で内部が洗われていくので、次第にきれいな水になってゆく。

この浄水器は単純なものではあるが、実のところ浄水場のろ過器に近い構造を持っている。そのため、適切な薬品の添加等でろ過の効果を高めている浄水場と比べて劣るものの、結構なろ過をすることができる。

動画ではペットボトルを使っているが、竹の筒を使ったりすることで自然物だけで構成することもできるし、ペットボトルでない筒状のものでも作ることは可能である。基本の構造が分かっていれば応用を利かせて作ることができるだろう。

また、この浄水器は中空糸フィルターなどを使用したハイテクノロジーの浄水器と組み合わせても使用できる。いきなり浄水器を使用してろ過するのではなく、簡易浄水器をまず通した水を、高度な浄水器に通すことで、高度な浄水器の目詰まりを軽減し、寿命を延ばすことができる。これにより、より安全な水をより多く得ることができるのである。

 

丸太のままで火を - ラコヴァルケア

再びフィンランドの焚き火の方法を紹介しよう。フィンランド発といわれる焚き火をいくつか紹介したが、どれも丸太をうまく燃やして長く火を得ることができるものである。今までに紹介したものは丸太を割って使うものだったが、今回は丸太をそのまま使う。

ラコヴァルケア(rakovalkea)と呼ばれる、この丸太をそのまま使う方法は、根底の発想と原理はラーパナントゥリなどの方法と同じである。つまり、2つの木の間で火を燃やし、熱を効率よく保持して燃焼を続け、同時に酸欠による可燃性気体の発生により炎を上げさせるというものである。

手法としては二つの丸太を上下に積んで、その間で火を燃やすというものだ。二つの木の間には少しの隙間を空けるために石なり木片なりを挟み、開いた隙間に火をつけるための焚きつけもはさんでおく。そして、そこに点火することで炎が得られる。

丸太を上下に積むというのはなかなか発想が出ないことである。そのまま積んだのでは安定しないのは自明の理であるが、転がって落ちてしまわないように杭を打って支えることでこれを可能にしている。

上の動画では豪快に横で火を焚いて燃え移らせることで点火している。自然の火口だとどうしても多目に使わないと火がつきにくいからこうした大げさに見える方法になることがある。

また、1本の丸太を割っても同じようなことができる。この場合、縦置きにしたラーパナントゥリと使っている物は変わらないが、この場合は材料が許せば横にどれだけでも伸ばすことができる。

災害時に家族と自分が生き残るために確認しておくこと3点

災害時、一分一秒の判断の遅れが命を危険にさらすことがある。そういった非常時に、自分の、そして家族の生命を守るために迅速に行動するための心構えとして知っておくべき事を考えてみよう。

非常時に重要なのは命をなくさないように、自分の命に集中することにつきる。その為に確認し、心得ておくべき3点を紹介する。

1.互いに探すことなく、自らの生存のために動くこと

「津波てんでんこ」という言葉がある。命てんでんこということもあるが、これは危機に瀕してはそれぞれが個々に逃げて命の安全を図れという意味である。どうしても大災害時には他の家族の安否が気になるものであるが、非常事態においては危険がすぐそこまで接近していることがあり、家族を探すような時間はない。もし一人でも自らが逃げず他の家族を探すようなことがあれば、残されたものはその生死に責任を感じてしまうし、また、逃げ遅れた家族を捜索しに行き二次被害が出ることもある。「てんでんこ」はそれぞれがしっかりと自分の身を守ることをお互いに確約し、それを信じることである。自らが逃げることを宣言し、それによって家族が避難しやすくなるのである。

2.自らの家族以外の集団は過度に信用しないこと

災害時においては大なり小なりパニックが生ずるものである。これは集団が大きくなればなるほど発生の頻度は上がり、また収集できなくなった際の被害が大きくなる。日本は職業意識が強い人が多いのか、あまり問題となることは少ないが、例えば外国では船舶が沈没するときに船長が適切な行動をとらず、被害が大きくなった例がある。したがって、自らがまず冷静になって、外部のアナウンスに惑わされず危険を察知しようとすることが重要だ。また、前述の「てんでんこ」と異なるが、子供が学校や幼稚園等にいる場合には、可能な限りそこに行き子供の安全を確保したほうが良い。こういった集団は統率を取ったり、移動の決断をしたりするのに時間がかかり、迅速な行動がとりにくいからだ。実際に、避難の遅れから被害を受けてしまった例もある。自分の判断で避難ができない年齢の場合、親が集団から引き剥がしてでも安全を確保するという意識が必要だ。

3.まず身一つが確保できれば良いとしておくこと

様々な災害用の準備をすると思うが、そのすべてはまず命が助かってからのものである。が、それにもかかわらず、重たい持ち出し袋に飛びついてしまう。人間のとっさの判断というのはなかなか難しいもので、用意して、もって出るのだと思っていると何が何でももっていかなければならないような気分になってしまう。そうではなくて、家族と自分の命がまず助かればよいのだという意識を常に持っておくことで、何より大事な命を守る行動ができるようになる。

心構えの有無が生死を決することもある

自分で考え行動できるものは自分の身に集中できる事前準備を整えておくことこそが緊急時の迅速な判断を可能にする。うろたえて貴重な時間を浪費しないように、最善を尽くせる心の準備をしておきたい。