松葉茶をつくる

野生にある植物で、見分けやすい食用にできる植物として松を以前に挙げたが、その利用法の1つが茶にすることである。松葉の茶は市販されるようなこともあるいわゆるハーブティーの1つで、健康茶とされているが、ビタミンCなどが豊富で健康の維持に一役買うだろう。

松葉茶は作り方は簡単で、松の葉を沸かした湯の中にいれて少しばかりゆがくようにするだけである。松葉はそのついている枝から注意深くはずし葉だけにするのが良いようである。茶色い軸が葉と一緒に茶に入ると松脂の味が強くして、だいぶ癖の強い茶になるからである。(ただ、松脂はチューインガム代わりに噛む人もいるようなので好みによっては入れてもいいかも)

野外生活において、加熱すると破壊されるビタミンCは不足しがちだが、こういった茶を採ると(多少熱で減少してしまうものの)ビタミンCを補給することができる。免疫の維持にも必要な栄養であるから可能であれば積極的に取りたいところである。

ラーパナントゥリ - フィンランドの働く男たちの火

今までに何度かスウェディッシュトーチを紹介しているが、それはもともとはフィンランドのものであるといわれる。広く知られている名前がスウェディッシュトーチであるから私もそう呼んでいるが、フィンニッシュトーチ(あるいはフィニッシュトーチか)と呼ぶべきとの話もあったりする(ただ、語感があまりよくないから広まらないかもしれない)。

しかし、確かにこの種の焚き火はフィンランドから来たに違いない。フィンランドの言葉でラーパナントゥリ (Raappanan Tuli) と呼ばれる火の焚き方がある。山仕事や野外の仕事をするフィンランドの男たちが使ってきた伝統的なやり方だそうであるが、これはまさにスウェディッシュトーチの原型といえる方法である。

切り出した丸太を半分に割り、割れ目の部分を斧でささくれ立たせる(火がつきやすくなる)そしてこの割れた部分の間を適切な間隔にしてそこで火をおこす。実に豪快なそれでいて実用的な炎がこれだけで得られる。道具も斧だけでやってしまう。まさに男たちの炎だ。

長時間にわたり逞しい炎を上げるこの手のトーチは極寒の地ならではの知恵の結晶のように感じ入るところである。

松の葉の有用性 - その利用法と栄養

サバイバルにおいて、自然の植物を利用するというのは大変に重要なことである。

何も手にしない状況では自然物以外に使えない場合だってあるし、装備があったとしても、足りないものはどこかからもってくるか作るしかない。そういったとき自然の植物から資源を得るというのは重要である。

そして、同時にいえることは、これらの植物は人間に利用されるために存在するのではないということだ。ものによっては触れるだけでかぶれたり、ひどい場合では毒で命が危ない場合もある。食用にできるかとなると、確かな知識がないと危険で慎重な判断が必要とされる。

よって、植物の利用、特に食用となると、できるだけよく知った植物を利用するのにとどめておくのが良いだろう。

そのうちでも、あまり植物の知識がないものでも判別しやすいものに松がある。松の葉は大変特徴的であり、遠くからその姿を見ても松であると判別がつきやすい。そして、この松は大変に有用な植物であるのだ。

松はその木、それ自体が樹脂を多く含む。木にできた傷から出る樹脂だけでなく枝や根にも樹脂を多く含み、燃やすと明るく燃え上がる。松明という字のごとく、松は明るく燃える。また、その実は食料ともなる。

ただし、実は食用に品種改良されたものでなければ小さく、また時期によっては得られない。食料として有用なのは、じつは葉のほうである。松葉は針状の特徴的な形をしているが、これが実は多くの栄養素を含んでいる。

青々とした植物に多く見られるようにビタミンCを多く含み、他にもビタミンAや各種ミネラルを含む。また、意外に思うかもしれないが、糖質を多く含み、いくばくかの脂質とたんぱく質を含む。

はっきりとした数値を出しているところが多くないので方々から集めてきた数値であるが、下のように栄養がある。


栄養成分(乾燥重量100gあたり)
 エネルギー  400kcal
 たんぱく質  6g
 脂質  7g
 炭水化物  82g

これは乾燥重量であるから、葉に含まれる水分によって大きく実際に取れる栄養量が変わるが、大体で1/10の量を見積もればよいだろう。あまり大きな数字ではないが、腹の足しにはなるし、ビタミン類の補給だけでも十分な効果である。

また、松葉を煎じてお茶として飲むというのもある。これは良い使い方で、ビタミンやその他栄養の補給の意味合いもあるし、水を沸かして飲むときに多少なりとも味を付けて飲みやすくする効果もあるからだ。

松は常緑樹であり、その葉は年中通して得ることができる。そして我々にとって身近で見分けやすい。まさにサバイバリストにとって宝のような木である。