キャラメルを非常食に

非常用の食料というのは、保存性に優れており、高カロリーなら代替よいのであり、それゆえ多くの種類の非常食製品が世にあふれている。缶詰やレトルトパウチなどに封入されているもので、長期保存と銘打っている物がほとんどであるが、パッケージを変更して保存性を向上している物も多くある。そういったものでは、元になった商品とほぼ変わらぬ味が楽しめることも多い。ようかんやビスケット、またキャラメルなどもその一つである。

一方で、保存性に重点をおいた場合に、そのパッケージなどで容積をとる場合がある。特に缶詰はビスケットやキャラメルなどの菓子類空隙が多くなりがちで、また缶の重量でも不利になりがちである(ただし、空き缶の利用など考えると少数であれば完全に不利というわけでもない)から、保存性の高い食品であれば、もともとのパッケージングのままの方が有利になる場合がある。

そういった食品の中でも、キャラメルは一般に売られている物を備蓄品にする利点が大きい。いくつかのキャラメルの性質が持ち運びを伴う保存に適しているからである。

まず、キャラメルは非常食として十分なカロリーを有している。油脂が多く含まれるので重量比のカロリーが高く、また同時にパッケージも手にはいりやすい森永のミルクキャラメルを見ると箱型のパッケージにぴっちりと入っており、容積比のカロリーも高くなっており、持ち運びやすくなっている。

また、キャラメルは可塑性である(変形する性質がある)ということがある。非常食でよくあるのが乾燥しているビスケットやクッキーであるが、これらのものは衝撃や圧迫によって割れたりつぶれたりして粉々になることがある。小さな破片になってしまうと非常に食べ難い上に、非常時に貴重な食料を無駄にする可能性がある。その点、キャラメルは衝撃に強く、またつぶれてもばらばらになることはない。

同時に、他の菓子類を非常食として揃えたときには共通して言えることであるが、甘くておいしいというところがある。食べなれたものを揃えておけば、普段から入れ替えつつ消費することができるし、また非常時にあっては、おいしいものを食べるということはかなりのストレス軽減、モチベーションの維持につながるので有用である。

ただし、まったく短所がないというわけでもない。キャラメルはその性質上、熱に弱い。高温にさらされると融けて変形等の不具合が起きる。パッケージング内であれば完全に食べられなくなる様なことは避けられるだろうが、内部包装などにへばりつき、かなり食べ難くなる可能性がある。まぁ大抵の場合ではそこまで融けてしまうことはないだろう。(そういった高熱の場合、まず人間がまいってしまう)

非常食として優れている、とはいえ、食料を全部キャラメルにするのもいろんな味のキャラメルがあるとはいえ辟易するものである。他の食品とのバランスも考えながら、カロリーと甘みの補強として導入すれば、便利に備蓄食料の総合力を上げることが出来るはずである。

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アルファ化米をそのまま食べる

災害時の備えとして多くの人が購入しているであろう保存食、その一つにアルファ化米がある。これは古くは糒(ほしいい)、干し飯などと呼ばれるものがより食べやすく進化したものである。通常はこのアルファ化米はお湯ないしは水を注ぎ一定時間待った後に食するものである。食味としては非常食では十分ともいえるが、しかしながら炊き立てのご飯よりは数段落ちるという感がぬぐえない。最近は様々な味のものが出てきており、また味もだいぶ向上してきているようであるが、人によっては不満が残るものになるだろう。

さて、最初からアルファ化米の味をけなしてしまったが、しかしながら非常時に米の食事をとれるのはかなり精神安定につながる場合がある。日常に通じるものは精神を落ち着けてくれるのである。また登山家の知恵でお湯を規定より多めにし雑炊やおかゆのようにすると食べやすいというテクニックもある。軽量でコンパクトなアルファ化米はやはり非常食の定番となるだけの能力は有しているのである。

とはいえ、長期保存した後に入れ替えるときには日常のなかでアルファ化米を食するなどして消費する必要がある(廃棄してもよいのであるが、もったいなさすぎる)。味などが気にならない人は十分であるが、味の違いが我慢ならない人は交換のための消費にストレスを感じてしまう人もいるかもしれない。

ところで、アルファ化米は通常の場合には食べるのに水が必要となる。乾燥した飯を吸水させて柔らかくするので当然であるが、実は吸水させなくても食べること自体は出来る。そもそも消化しにくいベータでんぷんをアルファでんぷんにして、ベータでんぷんに戻らないように急速乾燥させたものがアルファ化米であるが、このアルファ状態自体は乾燥していようが吸水していようが変化しないため、さほど消化に影響しないからである。

上記のようなことからアルファ化米には袋を開けてそのまま食べるという選択肢がある。これはこれで味があっておいしいものであるが、ただしかなり硬いものなので注意が必要である。口の中でふやかしながら、歯に負担をかけない程度にかむように心がけるといい。この場合、お湯や水でもどした場合と比べてかなり味わいが異なるものとなる。通常の方法でのアルファ化米ではいまいちと思う場合は一度試してみるといいだろう。

アルファ化米をそのまま食べるというのはなかなか間食にいいのではないかと思っている。この記事を書く間もシンプルな白飯のアルファ化米をかじりつつ書いているが、小腹のすいたときに他の菓子のかわりに少しずつ消費すれば交換もはかどるかもしれない。少なくとも私はなかなかいけるお菓子として食べれているから、アルファ化米を開封したときには一つまみでもそのまま試してみて欲しい。

隠れた保存食の実力者 : 氷砂糖の有用性

氷砂糖、というものがある。大きな結晶状態の砂糖であり、当然のことながら甘い。ただし、飴のような滑らかさはなく、結晶であるのでがっちりと硬く、またきれいに割れる。この氷砂糖は、果実酒やシロップを作るときに良く使われるが、そのほかに乾パンと一緒に袋に入れられていたり、または単品で菓子として販売されている場合もある。料理の材料や昔ながらのおやつという感じもする氷砂糖であるが、長らく非常食のお供に居続ける氷砂糖の実力を検証してみよう。

まずもって氷砂糖は甘い。これは非常時の食料にとって何よりも良い性質といえるだろう。非常事態ではまずもって体を良く使うためにカロリーを消費するし、また状況の把握のために頭脳も働かさねばならない。したがって糖質はかなり重要になってくる。中でも吸収が早いのはブドウ糖とショ糖(砂糖)である。氷砂糖は砂糖の結晶であるので吸収が早いのである。また甘いものは精神を和らげる効果がある。つまり非常時の心身を助ける甘いものを持っておくのは重要なのである。また、氷砂糖は砂糖であるがゆえに汎用性が高い。そのまま食べるだけでなく、紅茶やコーヒーに入れたり、その他料理の調味料としての使用も可能であり、甘味料として全般に使用可能だ。

次いで氷砂糖が有用であるのは、重量面で有利であるということだ。氷砂糖は結晶であり、ほぼ不純物は存在しない。甘いものということで見たとき、他の菓子類には水分などが含まれている場合が多く、その分有効にカロリーになる炭水化物は重量比で少なくなってしまうが、氷砂糖の場合はほぼ炭水化物100%のカロリーである。移動時に持ち歩く場合には重量は持ち運べる量に直結する場合が多いので重要になってくる。(ただし、カロリー量だけを考えると油脂の多い菓子類の方が有利になる。したがって前述の速効性の問題と天秤にかける必要がでてくる)

最後に、これが最も特徴的で、またかなりの利点であるが、保存性が大変に良いという点だ。砂糖には賞味期限がないということを知っているだろうか。砂糖(グラニュー糖・氷砂糖)はほとんど純粋なスクロース(ショ糖)であり、大変安定な物質である。もちろん水に薄めれば各種細菌により消費されてしまうし、湿気にさらされると良くないものの、きっちり封をされている状態では変質はほとんどなく、賞味期限をつける必要がないほど品質は保持され続けるのである。加えて、氷砂糖の場合にはその結晶の大きさから取り扱いが簡単で、例えば袋に小さな穴が開いても零れ落ちることがないなど、非常時に有利な性質を持っている。

氷砂糖は、昔ながらの単純な、しかしそれがゆえに安定で汎用性のある食品である。大量にあっても悪くなるものでなく、また使い道も様々あるので、気が向いたときにでも買い揃えておけば災害時でなくとも何かのときに役に立つだろう。なんといっても保存期間を気にしなくて良いので気軽に備蓄してもらいたい。

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