災害用の備蓄や持ち出しようの装備に意外と入ってないものに虫除けがある。神戸や東日本の大震災は寒い時期におきたので、さほど虫の害については言われなかったが、アウトドアシーンなどでは虫除けというのはかなり重要な問題である。
なぜ虫除けをせねばならないか
野外で活動する場合において、虫というのはどうしても接触するものである。問題となるのはそれらに刺されるなどして、健康に問題が出ることである。分かりやすいところで言えば、蜂やアブ、ムカデなどに攻撃された場合、腫上がりひどい痛みを生ずる。また、アナフィラキシー症状を発すると命の危険も生じてくる。
他にも重大な被害を及ぼす虫が存在する。蚊とダニである。蚊やダニ、またヒルなどの吸血生物はその吸血のために皮膚を害するから、まずそこで不衛生な環境への防御能力が低下し、感染症への罹患の可能性が高くなってしまう。また、蚊であればマラリア等の伝染病の媒介をするし、ダニは特異な細菌やウイルスを保持していることがあり、そのどれもが感染・発症すると命の危険があるものばかりである。
大昔とは違い大半のものには治療薬があるが、サバイバル環境下においてはそういった薬が手に入らないこともあるし、症状の判断が遅れて重症化することもある。また薬の効かない感染症もある可能性があるから、まず第一に感染のリスクを減らすために、虫に刺されない対策をしておくことが重要だ。
刺されないためにどうすればよいのか
虫からのリスクを防ぐために刺されないようにするということであるが、その方法は大きく2つある。物理的方法と化学的方法だ。つまり、蚊帳などで物理的に接触しないようにする方法と蚊取り線香などで殺虫するなり追いやるなりする方法である。
物理的な方法には代表的なものでは蚊帳があるが、実際は蚊帳を持ち歩くのはハードルが高いだろう。たとえばキャンプにつかうテントなどは虫が入らないような対策をしている物が多くあり、虫から守られた空間が得られるだろう。また、衣服で防御するという方法もある。長袖長ズボンなどは効果的であり、大きな虫、蜂やアブ等にはこれで十分効果が見込める。ただし、蚊やダニなどは、開いた部分から入ってくる場合があり、開口部を縛ったりして、侵入口をなくす工夫が必要だ。
化学的なものではまず蚊取り線香である。実際に線香をたいて虫除けするものがアウトドアでは効果が高いといわれることもあるが、電池式のものやスプレータイプで空間の虫除けをするものもあり、ある程度使い慣れている物のほうが良いだろう。また、体に塗って虫除けをするものも活動中などでは大変有用だ。たいてい蚊をよけるために使われるがダニにも効き目があるし、ヒルやナメクジなどにも効くようである。
こういった体に塗るタイプ(スプレーやジェルなど色々あるが)は主成分はおおよその場合DEET(ディート)と呼ばれるもので高濃度の製品での毒性や、子供に対する毒性が言われているが、虫除けには大変効果的であるので、そして、特にマダニに刺されるリスクと比べるとリスクは低いので、非常時の虫除けとしてもっていてもいいだろうと思う。
虫は小さな暗殺者であると心得るべし
相手はとても小さな、たとえ1cmに満たない虫であったとしても、その身に潜む細菌やウイルス、毒などは人間を死に追いやりうるものである。その対策に十分な注意を払うことで生存の一助になるであろう。