斧を基本から学ぶ4 - 切って加工する

斧は木を切る道具で、たいていは勢いをつけて振り下ろして使う。そのため、斧の刃は木に打ち込まれるために頑丈である。また、一方で斧はもったことのない人がイメージするよりもよほど鋭い刃をもっている。斧は刃の重みだけで木を切っているわけではないのである。

それゆえ、斧はナイフ的な利用法をすることもできる。よく研がれた斧は木を効率よく削ることができ、ナイフの代わりに木材の加工をすることも可能なのである。また、斧はその重量ゆえに大きく加工するときには勢いをつけて切断することもできる。例えば器や何かの取っ手を加工するときに大まかな形を削りだす際にはナイフよりも効率がいい。

あまり大振りすぎる斧では細かな作業、加工はやりづらいが、サバイバルを想定した、バックパックに入る程度の斧であれば十分に様々な加工に使用できる優秀な工具となるだろう。

斧を基本から学ぶ3 - 薪割り

焚き火にくべる薪を作るとき、また火を熾すときの焚き付けを作るときに薪割りをする。斧の使用法としても真っ先に思い浮かぶのが薪割りであろうと思う。また、燃料として利用しなくても、太い木の利用をする際に割って使いたい場合は結構あるだろう。

様々な木を割って使うことになるわけであるが、斧だけで作業するときに薪割りは少しばかり一般のイメージと異なる方法をとる。

玉切りの際に鋸を使わない場合、得られる丸太の端は平坦にならない。一般的に薪割りとしてイメージされるのは薪割り台に自立する丸太に斧を振り下ろすような光景だろうと思う。しかし、斧での玉切りを行うと端はとがった状態となり、このままでは薪割り台に、もしくは地面にそのままでも自立することはない。

したがって、そういう場合は他の方法で割ろうとする木を安定させて割らなければならない。

1つの方法としては横たえた丸太に立てかけて割る方法がある。立てかけた後に縦方向に割るように斧を振り下ろす。この際、足を広げて、割った後に勢いがついたまま足に刃が当たらないようにしている。より安全には横たえた丸太の向こう側に割る木を置いて、横方向から刃を入れる方法である。この場合木が割れたあとも、刃が横たえた丸太に当たるので安全である。

また、自立しない木を木の棒で押さえて立たせ、そこに斧を打ち込む方法もある。両手で斧を持つことができないが、地面がぬかるんでいる等で、割る場所に制限がある場合などで使えるだろう。

ほかにも、片手で持てる程度の太さの木であれば、片手で斧を持ち、もう片方で割る木を持って斧の刃にあてて一緒に振り下ろして割るという手法もある。これは小さな木でしかできないが、同時に小さな木を割るときには、斧をはずすことがないので重宝する。例えば箸のような細い木の棒を作るときにはよい。焚きつけなどで細い薪が必要になることも多いので活躍することも多いだろう。

斧を基本から学ぶ2 - 枝打ち・玉切り

木材を得るために木を切り倒した後に、また倒木を利用する際にも、前処理は必要である。木には枝が付いており、幹を加工・利用するならばそれを落とし、また適切な長さに切断しなくてはならない。

枝を落とす枝打ちは枝の細いものでは斧の刃を軽く振り当ててやれば取れるが、太ければ少しばかり技量が必要だ。木を切り倒すときに切れ込みを入れてやったように切り込んでいってやる必要がある。

また、伐採のときとは違い、低めの体制で横に振ることが多くなり、危険なので十分に安全に気をつけておこなう必要がある。当たる角度が浅すぎると、刃が跳ね返り、危険が増すので枝の角度をよく見て慎重に斧を打ち込むのがよい。

長い木を適切に切ってやる玉切りは、木材としての利用だけでなく、薪を作るときにも重宝するだろう。長すぎる木を割るのは大変な手間がかかるので、割りやすい長さまで切ってやるとスムーズにことが運ぶ。玉切りは横倒しになった木を切るだけの話なので、伐採のときとほぼ同様の作業でよい。違う点といえば、一方向からの切れ込みだけで切ってしまうということだろうか。

また、これも下に振り下ろす作業となり、自らを傷つける可能性が高い作業である。円弧を描いて振り下ろすのではなく上から下へと落とすように振ってやると斧をはずしたときに足に当たるような事故が減少するだろう。