雪の中のキャンプ

サバイバルはどんなときに、どんな場所ですることになるかは分からない。灼熱の砂漠、凍える凍土、絶海の孤島・・・

そんな極端な危地に遭遇することは稀でも、目のくらむような暑さや凍えるような寒さは日本にいるならば経験されることもあると思う。しかしながら日常生活では逃げ込める家屋があり、空調があり、水道があり、その他文明的な生活に必要なサポートが様々ある。

そういったものがないときに、どのように活動するかは問題だ。そういうときに日陰を作るためにシェルターを作ったり、焚き火で温まったりするのがサバイバルの技術である。

今回紹介するのは、雪の中のキャンプである。寒さの中、火を焚き、水を汲み、野営をしている。装備的に少しばかり恵まれた状態で活動しているから、野外活動において装備がいかに作業の時間を短縮し、重要であるかがわかる。

2名でのキャンプだが、1名はテントで一夜を明かしたが、もう1名はタープと寝袋だけである。四方に壁はない。焚き火があればこのような状況でも睡眠が取れるということで、焚き火の威力も思い知らせてくれる。

松脂で接着剤を作る

自然物で道具を作るときに、部品ごとに作り、それを組み合わせて作る場合があるが、その固定方法は使える素材によって限定されてくる。

木と木であれば、ほぞとほぞ穴で組み合わせたりするし、紐や蔓性の植物を使って縛り付けて固定したりする。石と木であれば紐でくくりつけたりする。また石に穴を開けてそこに木を通して固定するなどもある。一方で、野外で十分な道具もなしに石に穴を開けるのは困難を伴うし、他の方法も小さいものなどでは難しかったりもする。

そういうときに、木工ボンドや瞬間接着剤など、接着剤が欲しくなるときがある。接着剤は、木の接合部を補強したり、組み合わせるだけで固定できないものを固定するのに役に立つからだ。

自然の中でもそういった接着剤を得ることは可能である。松脂を用いるのである。

松脂はそれ自体が天然の樹脂で、加熱すると柔らかくなり、これを用いて接着することができる。また、松脂はそのまま使うだけではなく、他の素材を混ぜることで性質を変化させることができる。

動画では、炭の粉とウサギの糞を混ぜている。

炭の粉は松脂が固まったときにより硬くなるようにする。また、ウサギの糞は、草食獣の糞全般にいえるが、草食動物でも消化できなかった強靭な繊維が多く含まれており、これが各所をつなぎとめる役割をすることで、固まったあとの松脂が割れることを防ぐ。

こうした混合物の接着剤を作ることで、例えば鏃を接着し矢を作ったり、穂先を棒につけて槍を作ったりできるようになり、工作の幅が広がるのである。

松脂キャンドルを作る

サバイバル時の夜間照明は大変に問題である。電池式のライトが使えれば良いが、そういった状況ばかりとは限らない。焚き火や松明はそういったとき使える明かりであるが、いささか大きく大仰になりがちだ。

そういったとき、使えるのが松脂である。松脂は安定して燃えやすく、わりと長時間燃える。燃料としてちょうど良く、そして自然にある植物、比較的一般的な松から得られるのでうってつけである。

この場合は穴を開けた木の棒に松脂をつめてキャンドルとして利用している。火口を乗せて点火すると、しばらくすると松脂がとけ、成分が気化し燃焼をし始める。始めのうちは火口だけの燃焼なので手で風をさえぎって炎が安定するのを待っているが、しばらくすると松脂に点火するのでそうすれば炎は安定し少々の風では消えることはなくなるだろう。

本当に松脂は利用法の多い材料である。今回は火、明かりとしての利用法であったが、他にも様々利用法がある有用で、重要なものである。