丸太のままで火を - ラコヴァルケア

再びフィンランドの焚き火の方法を紹介しよう。フィンランド発といわれる焚き火をいくつか紹介したが、どれも丸太をうまく燃やして長く火を得ることができるものである。今までに紹介したものは丸太を割って使うものだったが、今回は丸太をそのまま使う。

ラコヴァルケア(rakovalkea)と呼ばれる、この丸太をそのまま使う方法は、根底の発想と原理はラーパナントゥリなどの方法と同じである。つまり、2つの木の間で火を燃やし、熱を効率よく保持して燃焼を続け、同時に酸欠による可燃性気体の発生により炎を上げさせるというものである。

手法としては二つの丸太を上下に積んで、その間で火を燃やすというものだ。二つの木の間には少しの隙間を空けるために石なり木片なりを挟み、開いた隙間に火をつけるための焚きつけもはさんでおく。そして、そこに点火することで炎が得られる。

丸太を上下に積むというのはなかなか発想が出ないことである。そのまま積んだのでは安定しないのは自明の理であるが、転がって落ちてしまわないように杭を打って支えることでこれを可能にしている。

上の動画では豪快に横で火を焚いて燃え移らせることで点火している。自然の火口だとどうしても多目に使わないと火がつきにくいからこうした大げさに見える方法になることがある。

また、1本の丸太を割っても同じようなことができる。この場合、縦置きにしたラーパナントゥリと使っている物は変わらないが、この場合は材料が許せば横にどれだけでも伸ばすことができる。

角材の作り方

さて、様々なものを作る場合に、木を切り倒してその後に加工する。その代表的なものは角材への加工だろうと思う。角材にする場合平坦な面を4面作る必要があるが、鋸などを用いた加工が一般的だろうと思う。しかし、鋸がなくても斧だけでそういった平面を作ることができる。

斧を使って平面を切り出すとき、丸太の一面を剥ぐようにして少しずつ平らな面を作り上げていく。剥ぐ部分はあらかじめクサビで切れ込みを入れておき剥ぎやすくしておく。こうすればクサビで割るようにして面を取るよりもきっちりと制御しながら面を作ることができる。これを4面に施せば

サバイバル等での野外活動で角材が必要になることはそうないだろうが、この技術は斧での丸太の加工の基本ともいえるところなので様々な部分に応用を利かせられるところだろうと思う。

斧で木を切り倒す

大きな木材を得る場合には木を切り倒す必要がある。そういったときにチェーンソーや鋸があれば作業は楽で効率が良いが、そうも言っていられない状況というのはある。

しかしながら、斧が1本あれば木を切り倒すくらいわけなくできる。

ほとんど切り方は鋸で切るときと同じであるが、斧の特性上一直線に切り進むことはできないから、追い口はどうしても楔形に切り進むことになる。

そんなに時間もかからずに切り倒してしまっているが、斧の特性を理解している人間がするとここまで早くできるものなのである。斧は木の繊維に直角に切るのは得意でないから斜めに刃が入るように打ち込んでいるのである。また、追い口を切り進んでいるとき、最後のほうは注意深くきり、斧の勢いで残すべき中心部をへし折ってしまわないようにしている。そういった細かな配慮が自然にできるベテランでなくとも、ちょっと意識して斧を使えば時間をかければ切り倒すことは可能である。

そもそも斧を用意できないこともあるが、そういった場合は石から作るという手もある。石器時代はそうしてきたし、鋸を作るよりはだいぶ難易度は低い。

また、大振りなナイフを斧の代わりに使うこともできるから、覚えておいて損はないだろうと思う。