松脂キャンドルを作る

サバイバル時の夜間照明は大変に問題である。電池式のライトが使えれば良いが、そういった状況ばかりとは限らない。焚き火や松明はそういったとき使える明かりであるが、いささか大きく大仰になりがちだ。

そういったとき、使えるのが松脂である。松脂は安定して燃えやすく、わりと長時間燃える。燃料としてちょうど良く、そして自然にある植物、比較的一般的な松から得られるのでうってつけである。

この場合は穴を開けた木の棒に松脂をつめてキャンドルとして利用している。火口を乗せて点火すると、しばらくすると松脂がとけ、成分が気化し燃焼をし始める。始めのうちは火口だけの燃焼なので手で風をさえぎって炎が安定するのを待っているが、しばらくすると松脂に点火するのでそうすれば炎は安定し少々の風では消えることはなくなるだろう。

本当に松脂は利用法の多い材料である。今回は火、明かりとしての利用法であったが、他にも様々利用法がある有用で、重要なものである。

松脂を集める

松脂(pine resin)は松の木から採れる樹脂である。大なり小なり木というものは樹脂を含んでいるのであるが、特に松は樹脂成分を多く含み油の多い木として知られている。

この樹脂は揮発性のあるテレビン油と天然樹脂であるロジンを主成分としているが、これらは加熱すると柔らかくなり、温度によっては液状となり、冷えるとまた固まるので接着剤として使用できる。また、点火すると良く燃えるので燃料としての使用もできる。

この松脂はもちろん松の木から得られるのであるが、その方法は木を傷つけるものである。ゴムの木からゴムをとるのと同じように、木に溝を切り込み、そこから流れ出る樹脂を取るのである。

しかし、一方で、自然に松が傷つくこともある。その場合、樹脂が流れ出て、その揮発成分が蒸発した少し硬いかさぶたのようになっている樹脂を採集することになる。こういった手法は自然の木を積極的に傷つけることがないのでそうした採取をする人も多い。

こうして得た松脂は加熱して精製したり、他の材料を混合したりして様々なことに使われるのである。

簡素な道具でナイフを作る

サバイバルに重要な道具の一つがナイフである。ナイフがあれば木の加工をしたり、蔓性の植物を採取したりが容易になり、また魚などを捕まえたときでも調理ができるなど、サバイバルシチュエーションで大変に有用な道具である。

だが、様々な理由からナイフを携帯できないということがある。またもっていたとしても失ってしまう事だってある。

そういうときにナイフをどこからか調達したいものだが、金属製の刃物製品がどこにでも転がっているわけではない。したがって刃物を得ようとするならば、周囲になければ作る必要が出てくる。

実のところ、金属の加工というものは、品質を問わなければさほど難しいものではない。十分に熱することができれば叩いて変形することが容易になり、そうなればあとは望む形に形成する根気だけでも何とかなるものである。なので、ある程度大きな金属の塊が手に入ればナイフを作ることができる。

動画では打ち上げられた廃船から太い釘を取って、それを打ってナイフを作っている。釘を熱する火は焚き火程度のものである。また、金床として使っているのはただの岩である。また、金属製のペンチでつかみ、斧の背で打っているが、これも実はやろうと思えば木のトングと石のハンマーで代用することができる。

そうして形を作ったナイフを荒めの石で砥ぎ、その後もっと細かい目の石で砥いで刃を付けると完成である。焼入れをしていない(というか、金属の組成が焼入れができるかもわからない)ので少しばかり柔らかい刃であるが木を削いでいくことができるくらいに実用的な刃が得られる。

どんな状況でもそれを得ようとする意志と根気があれば工夫を凝らしてどうにかできるようになるものだ。ないものは作るくらいの勢いで何事もこなしたいものである。