原始的兵器 - 投石

命を守る第一の戦略は逃亡戦略である。自らに危害を加えうる災害・動物・人間のいかんにかかわらず、積極的に相対して対処しようとすると傷害を受ける可能性が大いに増すために、それらのものを避けて通るというのが第一に採るべき方針である。しかしながらサバイバルが長期にわたると、資源や体力の関係から逃げ続けることが出来ない場合もある。そういったとき、例えば略奪者への対抗や獣を狩猟するなどがあるが、危険を減らすために武器などを用意して優位に立てるようにしなければならない。

この武器は、近距離へのものと遠距離のものがあるが、基本的に距離を取れるものの方があんぜんである。アメリカなどでは第一選択として銃ということになる。一方で日本では銃の取得は狩猟と競技目的のみとなり、また取得と維持の困難さから危機への備えとしてもつことは現実的ではない(また、法的にそのような目的を含めることはよろしくなかったかと思う)

つまるところ、日本では強力な遠距離に対する武器は保有するのは難しいということになる。弓矢や投げナイフ等も考えられるけれども持ち歩くには難がある(銃刀法や軽犯罪法など)し矢玉の数も制限されがちである。そこで人間の歴史に立ち戻ってみると、大昔の戦場に光明があった。投石である。

石を投げるというのは大変に原始的であるが効果的な攻撃方法である。テニスボールほどの大きさがある石であれば十分に殺傷能力があり、そしてなにより大量に拾って確保できるという利点がある。技術がなくとも数でもって補うという方法も取れるわけだ。レンガや川原の石、そこいらの陶器でもなんでも、即座に防御兵器に早変わりするから幅広いシーンで使用可能であるから使えそうな素材(つかみやすく重量があるものがよい)を頭に置いておき、素早く対応できるようにしたいところである。

もう少し技術が進んだものに投石器(スリング)があるが、それについてはまたの機会にしておこう。ただの投石でもそこそこ威力はあるし、投げる練習は日本人はみな義務教育時代に訓練している(体育でボールを投げる競技をするはずである)から投石はすぐに利用可能である。スリングだと威力は飛躍的に増大するが、必要な技術も増大するから練習が必要なことを留意しなければならない。

スコップを非常用装備にいれているか? - 土を掘る

先日、家庭菜園の手入れをしていたが、そのとき、手や庭木の枝を落としたもので土を掘り返したりした。柔らかく耕された土ではそれで十分掘り起こせるのであるが、問題は放置されて固まった土である。固い土では手では歯が立たず、また木の棒でもかなり難航する。家庭菜園もプレッパー(非常時に対し準備する人)的なことであるが、これについては又の機会にして、今回は土を掘り起こすということについて考えてみたい。

都市生活をしていると、地面を掘り起こすということをしない。庭の手入れやら家庭菜園をする人が少しばかり行う程度であろうと思う。だが、サバイバル、野外活動となると地面を掘る機会というのはかなり多くなる。例えば食料を探すとき、山芋などは深く掘りだして採集するし、他にもユリ根や葛など、掘り出す必要のあるものがある。また火を熾すときにダコタファイアなどは地面に穴を開けてそこで燃やす。そして、衛生面では排泄をするときに穴を掘って行い、埋めたりする。(これは登山者もよく行うようである)

ほかにも、シェルターを作るときの柱をいくらか埋めて安定させたり、もっと言えば竪穴式住居を建築などする場合にも地面を掘り返す必要があり、詰まるところ、地面を掘るということの用途は多岐にわたるものである。したがってそれに使うための道具が重要となってくるということでもある。前述したとおりに、手では話にならず、木の棒のようなものでは力不足である。しかし人類はすでに十分に優秀な道具を獲得しているのでそれを用いるのがよいだろう。すなわちスコップを使うのがよいということである。もちろん、本格的に開拓や開墾を視野に入れるならスコップだけだと不足であり、つるはしや鍬などが必要となるが、一つだけというならばスコップである。掘り返し、砕土、動土の作業、そして振り回せば戦闘にも使えるスコップはサバイバルに適している物である。

能力的には大きな柄付きのものが大きな穴を掘れて、土木作業に使えてよいが、しかし大が小をかねることも難しい道具でもあるので、サバイバル用に持つとしたら小さな園芸用スコップ(「移植ごて」と呼ばれるもの長さ約30cm)で十分である。これでおおよその軽作業は十分にこなすことが出来る。または、折りたたみのスコップ類もあるので、そういったものを検討してもよいだろう。スコップがあるとはかどる作業は結構あるのでしっかり準備して欲しい。

補足になるが、今まで装備の質に言及することはあまりなかったが、今回は特に言及しておきたいことがある。特に安価なものを選ぶときには注意してほしい。私が以前購入した100円均一のものを使用していた際、固い土を掘りあげようとこじった(差し込んだ穴を広げるために前後に力をいれた)ときにぐんにゃりと曲がってしまった。強度が足りないといざというときに役に立たない場合があるから、軽さや形だけでなく強度も気にしてみて非常時に十分なパフォーマンスが出るものを選んで欲しい。

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刃物を常時持っておくのは無理という場合の解決策の一つ

サバイバルにつきものの刃物、ナイフは木材の加工やロープ・紐類の切断等に大活躍で必需品といって良いものであろう。しかしながら現代では刃物に対しての警戒は大きく、人口密集地では文具以上の(場合によっては文具でも!)刃物を持っていると逮捕なり没収なりされてしまう場合もある。そういったことから危機に備えたいと思っても刃物は持ち歩きたくないという人もあるであろう。

もちろんどのような場合でも危機に備えるのは重要であり刃物はその為に重要な道具の一つであるから、刃物を所持してなくとも危機の際には刃物を利用できるように考えてみよう。

まずもって都会の中であれば正当に保持・保管されている刃物が気軽に手に出来るという事実がある。周りをよく見渡せば、例えばオフィス街ではカッターナイフやハサミが机の中に、そうでなくともコンビニや文具店で探せば見つかるであろうと思われる。が、しかし、どう探してもないという可能性はあり、それに備えるのがサバイバリストというものであろう。では刃物を持たずに刃物を備えるにはどうするか、それは刃物になる前の板を持つのである。

刃物になる前の板、といってもナイフの形をしている物でなくて良い(というより、威圧感の問題から形は平凡な板の形がよい)が、1mm厚くらいのスチール版くらいであればよい。これを有事の際にはヤスリで削ればナイフとして利用できる。ヤスリは爪きりについている物や、もしくは紙やすりを用意すればよいが、ありあわせのもので、コンクリート片や肌の荒い石なども使える。ただの鉄板の状態であれば身に着けていてもなんら問題ないというわけである。美観上の問題からただ鉄板を持っていてもよろしくないが、例えばドックタグであれば長さはさほどないが自然にアクセサリーとして身につけられるし、血液型などを記載しておけば万一の場合に役立つ可能性もある。

とはいえ、急造の間に合わせのナイフであるからそのことは頭に置いておこう。まぁ、ないよりは断然ましであるから、短くとも金属で刃物になればサバイバルの強い味方なのである。

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