MAN vs WILD - ベアグリルスのサバイバルショー

サバイバルを扱った作品やテレビ番組などは探せば多く見つかるものである。古くはロビンソンクルーソーから、映画で言えばキャストアウェイ等、小説や漫画作品でも枚挙に暇は無いほど数多くのフィクション・ノンフィクションの作品があふれているといっていいだろう。

一方で、純粋にサバイバルを解説している物はそう多くない。あるひとつのサバイバルの状況での行動と結果を描くだけのものがほとんどである。無人島を舞台としたもの、災害をテーマとしたもの、他にも戦場・極寒の地・ゾンビパニック等、限定的なもののみである。物語としては面白いが総合的にサバイバルを知るには少しばかり物足りないものだ。

そんな不満を抱えるサバイバル好きのニーズに見事答え切っている作品がある。ベアグリルスの出演する、MAN vs WILD(邦題:サバイバルゲーム)である。大変に人気のあるシリーズであり、これがきっかけでサバイバルマニアになったひとも多いのではないだろうか。それほど完成度が高く、魅力の多い作品である。

ベア・グリルスはイギリス軍特殊部隊の元隊員であり、サバイバルの技術と経験が豊富だ。そのベアが空中からサバイバルをしに現地にパラシュートで降り立つというところから番組はスタートする。砂漠や氷河、無人島や廃墟、ジャングルや海、まさにありとあらゆるところをスタート地点にしてサバイバルが開始する。救助や人里を求めながら、様々な植生を利用し、また各国の様々な動植物、食料になりそうなものを紹介しながら、サバイバルのテクニックを解説、実演するのである。

現地到着から、移動し食料や水を得ながら一日をすごし、一泊して人の手が入っているところまで行く体裁であるが、もちろん撮影の都合、スタッフの限界や安全上の問題から数日にわたって撮影されてはいるので完璧なリアリティー番組というわけではない。また幅広く扱っているとはいえ、エンターテイメント、娯楽作品であり、再現番組で無いから災害地などでのオンタイムの避難等は扱えてない。そういった面はあるが、サバイバルの幅広い手法、割り切り方、無茶の仕方はかなり面白い。

実演するベアグリルスは元特殊部隊員であるから、かなりの訓練をつんでおり、一般人の実現困難なことも行うから、実際の自分のサバイバルに適用するのにそのまま全てをというわけにはいかない。が、たびたび解説される基本的技術や、地形にあった注意点は大変に有用で参考になる。実際に視聴者が参考にして生き延びた事例(ないし救助した事例)も取上げられるなどもあり(中には少年が行ったものもある)、十分に実用的な内容となっているのである。

私ではベアのようなタフな男にはなりようがないが、そうありたいと思うことでサバイバルの知識は身につき深まったものである。サバイバルに備えたい、自然の中でも生き延びたいという諸氏はぜひ一度見ていただきたい。学ぶところの多い作品であるし、娯楽としてもまた一級品であると確信している。

サバイバルゲーム MAN VS. WILD シーズン1 DVD-BOX

新品価格
¥9,408から
(2013/9/30 21:37時点)

体の蓄えたエネルギーを知る

近頃ではメタボだのなんだのといわれ、体脂肪は嫌われている。カロリーオフだとかカロリーの吸収を阻害するだのといった商品も多く扱われ、とかく低カロリーに押さえて脂肪を増やさないようにしている。現代人の多くは太っているということを怠惰の表れとか自己管理の不十分だとみているが、近代以前では太っていることは健康と富の象徴であった。これは、食料が十分に手に入らなかったころの見方というとその通りであるが、実際に体脂肪は厄介者というわけではなく、本来は身を助けるためのものである。

体脂肪のそもそもの役割は摂取した余剰カロリーを蓄えることにある。古代では食料を得てもそれを保存する手段は十分ではなかった。人間が火を得ていなかったころはそもそも保存などという概念はほとんど無く、一部の木の実などが貯蔵できただけである。その後も燻製や塩蔵(塩漬けによる保存)に頼るのみの時代が長く続いた。そういう時代において、食料は保存にむくもの意外は短期で消費しきることが一番であった。そうすると、その日に必要なカロリー以上を摂取することになるわけであるが、そのカロリーは体脂肪の形で体に蓄えられるのである。こうすると、生きた細胞の中に保存されるのであって、腐ることもなくカロリーを保存することができる。野生動物にも備わっている生物の栄養保存能力としてこういった脂肪に変換する形でのエネルギー貯蔵が行われるのである。

天高く馬肥ゆる秋という言葉もあるが、一部の動物は食料が豊富に得られる秋に十分なカロリーを摂取し、冬を越えることができるだけのカロリーを蓄える。例えば熊は秋に魚や木の実などを多く摂取し体に蓄え、冬にその蓄えた脂肪を消費して生き延びるのである。体脂肪は同時に体の耐寒性を高める効果もあるため食料が少なく尚且つ寒い冬を乗り越えるために重要な機能であるといえよう。こういった機能があるゆえに、我々はサバイバル時に食料の調達を後回しにすることができる。一時的に食料が得られずとも、身についている体脂肪を利用してしばらくの間活動を続けることができるものなのである。

では、どれだけのカロリーが体に蓄えられているのであろうか。個々人の体脂肪の量は体脂肪計などを用いればおおよその量を把握することができる(あくまでおおよその量で厳密な量を測ることは難しい)が、それに体脂肪のカロリー量をかけるとそのカロリー量が分かる。体脂肪のカロリーは約7.2kcal/gである。体脂肪は純粋な脂肪とは違い細胞質の成分もあるから純粋脂肪の9kcal/gより低くなる。

体重60kgで体脂肪率20%の場合、その体脂肪量は12kgとなるわけであるが、そのカロリー数は86,400kcalとなる。これは成人男性の必要カロリーである約2500kcalでいうとおおよそ34日分のカロリーとなる。もちろん、これは概算であり、また非常時で活動が活発であったり寒さにさらされたりすると消費カロリーは増大する。重度の肉体労働を行うときの消費カロリーは男性で3400kcal程度である。また自衛隊でも3300kcalを摂取するようにしているという話もある。これらから言うと肉体に蓄えられるエネルギーは26日程度の活動に耐えられる。もちろん体脂肪がこの計算より少ない場合はより短くなる。

こういった事実からサバイバルの3つの3のうち食料の3、つまり3週間食料が得られないと危険であるという法則が導かれる。これは基本がそうなのであり、体脂肪が少ない場合はより短い時間で危険であり、食料の調達の重要度が上がる。もちろん、過剰な体脂肪の蓄積は高血圧や高脂血症引き起こす原因となり健康にリスクがあるが、体脂肪が少なすぎる場合、生物としての耐久度は低下しているかも知れないことをよく頭に置いて備えておくようにしよう。

生命活動の基本 水に関する記事まとめ

人間の、いやほとんど全ての生物は大部分が水といっていい。かつて海で生命が誕生し今に至るまで、生命活動は水の存在を前提としてなされてきた。生命の基本がみずであるから、したがって生存のための行動、つまりサバイバルの基本もまた水であることは必然である。

日本国内では水は豊富であり、水源に困ることは少ないだろうと思われるが、その水をそのまま利用することができるかはわからない。

目の前にあって使えない水 あがけば何とかなる水

見つけた水源がどうしようもない汚染で利用不能な場合でなければ、そこから何とか水を利用可能な形に持っていき、飲料水やその他生活用水を確保していきたいものだ。その為に事前にいくつかの装備や薬品があれば安全な水を比較的容易に手に入れることができる。

テクノロジーにより安全な水を得よ – 浄水器

色々な種類の浄水器を考える

大量の生活水をどのように確保するのか

次亜塩素酸浄水剤の使い方

これらの方法は、おおよそ水道局などが浄水場で行っていることに近いことを持ち運べる機材で行おうというもので、正しく行うことができれば安全度は高い。しかし、こういったハイテクノロジーの産物は事前に準備しておかなくてはならず、装備を破損・紛失したり、薬剤が尽きてしまえば実行不能に陥る。一方で、もっと原始的な方法であればその場の資材で作り出すこともでる。高度な道具が無いときにはこれらの方法で水を得ることもできる。

水を得るために - 簡易浄水器を作る

焚き火で湯を沸かす

地面での湯沸し

さて、飲用可能な水を得て、それで終わりではない。その場で利用する以外の水については、現代では水道が発達しているからさほど必要性が薄れているが、水を得た後にそれを利用するまで運搬する必要がある。そのとき利用するのは、古代から現代まで存在している水筒である。シンプルな機能ゆえに昔からほぼ形態が変わっていない水筒であるが、現代では素材の変化でより利用しやすいものになっている。サバイバルにおいては保温機能の高いものではなく、保温能力はなくとも軽量で耐久性の高いものであることが重要だ。

軽くて頑丈プラスチック水筒

極軽量でコンパクト!ぺらっぺらな水筒プラティパス

筒型は竹筒の水筒から、プラティパスなどの袋型は皮袋の水筒からそれぞれ進化したものということもできる。

水の確保と無害化、運搬は不可欠な水分の安全な摂取に欠かせない。生命の基本である水を努々おろそかにしないように気をつけよう。