地震の後10分でするべきこと

地震の揺れが収まって無事だったとき、やれやれと終わらせることはできない。生命・財産を守るためにやらなければならないことが数多くある。大きく分けると被害拡大の防止と情報の収集である。

火の始末をして火を出さない

まず第一に火の元の確認である。ガスコンロやストーブの火の始末などは基本であろう。今では多くの機器で自動停止機能があったり、ガスの供給がストップしたりするシステムが発達しているが、停止機能の故障や、自動停止するほどの揺れでなくても落下物に引火、もしくは発火するような状態になっていないかも確認しなければならない。また、ガス供給の停止があった場合はコンロの火は消えるがガスは出る状態になっているから、コンロのつまみは消火の位置にし、元栓も閉めるようにした方がよいだろう。

電気製品も火災の原因に

次には電気の確認である。電気ストーブやコタツ、電気コンロなどの電熱器具は火災の原因となるから停止、および周囲の確認をするべきであるし、他の電化製品も破壊されてしまっているものは火災の原因となりうるから、そういったもののコンセントを引き抜き通電しない状態にする。また、落下物がコードを傷めてショートするなどのことも考えられるから、全体の被害を確認するのがよいだろう。一番手っ取り早くて確実なのはおおもとのブレーカーを落とすことである。ショートによる火災は気づき難いが通電していなければ発生しないからブレーカーを落としてから確認しておきたい。また、停電時でも、後に回復した際に火災が発生した事例もあるから、ブレーカーを停止しておきたいところだ。

正しい情報が身を守る

被害拡大の可能性を排除したら、次は情報収集である。といっても、停電の状況を想定するならラジオでの情報収集が主になるから情報収集しつつ他の作業も可能であろう。情報収集の重要な点は、津波の有無を知ることと、周囲の被害の大きさを知ることである。

津波の可能性があればとるものとりあえず高台に避難する必要がある。到達時間によっては救助活動ができるかもしれないが、津波のことを知らない、もしくは余裕がないのに救助等をしていては二次被害の原因となる。津波の可能性があればできうる限り迅速に避難しよう。

また、周囲の被害の大きさで救助や避難の仕方も変わってくる。被害範囲が広く、被害甚大である場合には、レスキューの到達や病院での治療に期待することが難しくなってくる。比較的狭い範囲であった阪神淡路の震災のときでも周囲の人の救助が大半であったが、より広く、大量の人が被災した場合、より難しい状況でもその場の人間が対処しなくてはならないから、専門家でなくともありあわせの知識で救命を行う必要があるだろう。狭い範囲の被災であれば、レスキューの手も十分に足り、医療機関も素早く対応できるであろうから、難しい要救助者は専門家に任せることができる。

少しでも早く行動して安全を確保することが重要

揺れの直後はひとまず安心してしまうが、貴重な数分を無駄にしないようにしよう。即座の行動と正しい方針の決定が生死を分けることになるのである。

地震に合って10秒でするべきこと

まずは身の安全が第一

地震が起きたとき、一番に優先するべきことは身の安全の確保である。突如大きな揺れに襲われた場合にできることはわずかしかない。身の回りのものを使い、まずは自身の安全を確保するべきである。特に守るべきは頭部で、頭に落下物を受けて気を失うなどがないようにしよう。

寝ているときならば枕や布団で防御し、机があれば机の下、机が入りにくいなら椅子やクッション、キッチンでは御盆や空の鍋、風呂では桶等、その場その場の丈夫なもの、クッションになるものを利用しよう。

前兆現象・アラーム等で早めの行動を

突然に大きな揺れに襲われた場合には身を守ることに専念した方がよいが、場合によってはゆれる前に準備することもできる。地震動は大きく2つに分けられ、大きな揺れの前に初期微動と呼ばれる小さな揺れが感じられることがある。この前兆現象を感じてある程度の事前行動を行える。また、現在では地震の前兆を察知して警告するシステムも多く存在するのでそのアラームを聞いて行動することも可能だ。

事前に行動できるといっても、その時間は数秒や長くても十数秒くらいと思った方がよいだろう。その間にできることはずいぶんと限られるが、それでもいくつかやっておきたい重要なことがある。

扉や窓は揺れで開かなくなることも

まずは扉や窓、何でもよいから脱出口となるところを開けておくことである。大きな揺れが起きた場合には扉や窓の枠がゆがみ、開かなくなることがある。そういった場合に外に出るのは大変に手間がかかる。地震後に十分に時間が取れる場合にはさほど問題にはならないかもしれないが、隣家・隣室から出火したり、今まさに居る建物が倒壊しそうなときには一刻の猶予もない。すばやく脱出できるようにできる限り脱出口の確保をしておきたい。

非常用持ち出し袋は確保したい!けど持ち出すことをこだわり過ぎてはダメ

また、余裕があれば身の回り品、非常用の持ち出し用品の確保も合わせて行いたい。メガネや常飲している薬を準備しておくことはもとより、車の鍵や倉庫の鍵などがあれば回収しておきたい。非常用の持ち出し袋などは、余裕がなければ置いて出る覚悟も必要である。余裕があればもっていた方がよいことは確かであるが、まずは身の安全が第一である。大きな揺れの前に気づくことができたらこれらのものもなるべく確保しておきたい。

そのときどうするか イメージトレーニングをしておこう

地震のときは一瞬一瞬が貴重である。揺れがおきたとき、優先順位を確りと決めて想定しておけば貴重な数秒にすばやく行動することができる。様々な場所での緊急時の行動を想定し、心の準備をしておくことが生死を分ける判断を正しくするための一番の方法になるだろう。

斧を研ぐ

野外活動では頼もしい道具である刃物類であるが、その鋭い刃も使うたびに痛んでゆく。特に野外活動では木を切るなどすることが多く、また土や石に当てることもあるから刃の鈍りと痛みは早い。

もちろんそういった劣化は厚く重い斧であっても逃れられるものではない。いくら頑丈に作られようとも鋭い刃をもつ道具である以上、刃先の劣化が生ずる。刃の劣化は作業効率の低下が問題となるだけではなく、安全上の問題も引き起こすことがあるため早めに対策をしてやらなくてはならない。刃の鈍ると木に食い込み難くなるため、斧が跳ね返って怪我をする原因にもなりうるのである。

したがって早め早めに刃先を砥いでやることが必要である。

刃を研ぐのは基本的には家庭にある(かどうかは分からないが)砥石で十分である。一般的に砥石として売られている水砥石でよい。わざわざ水砥石というのは海外では油をつかう砥石も多くあるからである。日本では砥石といえばわざわざ言わずとも水をつかうものであるから砥石として一般的に売られている物を使えばよいだろう。海外では日本の砥石は、Japanise Waterstoneと呼ばれ、よく見るようになって来た。

砥石は水に浸してから利用する。包丁やナイフであれば大抵のイメージにある様に前後に滑らせて研ぐ。この際のテクニックも色々あるが今はおいておくとして、斧の場合は違ったとぎ方をする。

斧の刃はコンベックスと呼ばれる形をしている日本語ではハマグリ刃と呼ばれるこれは、少し膨らんだ形をしていて、刃先が直線になっていない。これにより斧の刃は折れたり欠けたりしにくくなっている。研ぐときはこれを壊さないように、まずは円を描くようにして研ぐ。その後刃先を整えるように刃を当てて弧を描くように研いで行く。

砥石は中砥と言われる石で研いだ後、仕上砥と呼ばれるより細かい目の砥石で研ぐと鋭く仕上がる。しかし、こだわらないなら中砥で注意深く研げば十分に実用になる鋭さで研ぐことは可能である。