手軽に持ち運べる簡易シェルター - ツェルト

シェルターというものは体を周囲の環境から保護するものである。しっかりとしたものであれば山小屋といった家屋や設備であり、もう少し簡便になるとキャンプでよく使われるような山型やドーム型のテントであったりする。また、サバイバルシートや自然物を使って造ることもある。

しかし、行動中に不慮の事態で休息が必要になったときに行うビバーク時には、しっかりとしたテントは軽装で行動している際には荷物として大きすぎるし、自然物やシート等を使ってシェルターを作るのは時間と労力がかかりすぎるのでいささか適するものではない。

そういった場合に便利であるのがツェルトである。ツェルトはビバークテントなどとも呼ばれることがあるが、簡易小型軽量のテントのようなものである。

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防水加工された軽量の生地がたいていはテントとして利用できるような形に縫製されており、内部に入ってビバークすることができる。テントと比べると結露しやすく、また小さいので快適性能では断然劣るが、夜露と風と外気を一定の程度やり過ごすことができる。

ツェルトは軽量で小型であることが求められるものなので、たいていは通常のテントのセットに含まれるような自立用のポールなどが付属していない。したがって立ち木にロープを張ったり、木の枝を立てたりして、テントのように設営する必要がある。が、そうした軽量化により、少しの不便はあるが簡素なものであれば200g程度の重量で非常時用に常時持ち歩くのに適したつくりになっている。

また、テントとして設営せずともある程度の防護性能は発揮する。かぶったり身に巻いたりするだけで、風雨から守られ、衣類としてみると一層増えるので防寒効果も見込めるからである。また、かぶって使うことを基本に考えられたものもあり、そういったものはさらにもまして小型軽量である。

苛酷な環境に放り込まれたときにシェルターが得られるかどうかは生死を左右する問題である。登山はもとより、非常用の準備をするときに一段上の装備を整えようと思う方はツェルトを含めることも検討してはどうだろうか。

簡素な道具でナイフを作る

サバイバルに重要な道具の一つがナイフである。ナイフがあれば木の加工をしたり、蔓性の植物を採取したりが容易になり、また魚などを捕まえたときでも調理ができるなど、サバイバルシチュエーションで大変に有用な道具である。

だが、様々な理由からナイフを携帯できないということがある。またもっていたとしても失ってしまう事だってある。

そういうときにナイフをどこからか調達したいものだが、金属製の刃物製品がどこにでも転がっているわけではない。したがって刃物を得ようとするならば、周囲になければ作る必要が出てくる。

実のところ、金属の加工というものは、品質を問わなければさほど難しいものではない。十分に熱することができれば叩いて変形することが容易になり、そうなればあとは望む形に形成する根気だけでも何とかなるものである。なので、ある程度大きな金属の塊が手に入ればナイフを作ることができる。

動画では打ち上げられた廃船から太い釘を取って、それを打ってナイフを作っている。釘を熱する火は焚き火程度のものである。また、金床として使っているのはただの岩である。また、金属製のペンチでつかみ、斧の背で打っているが、これも実はやろうと思えば木のトングと石のハンマーで代用することができる。

そうして形を作ったナイフを荒めの石で砥ぎ、その後もっと細かい目の石で砥いで刃を付けると完成である。焼入れをしていない(というか、金属の組成が焼入れができるかもわからない)ので少しばかり柔らかい刃であるが木を削いでいくことができるくらいに実用的な刃が得られる。

どんな状況でもそれを得ようとする意志と根気があれば工夫を凝らしてどうにかできるようになるものだ。ないものは作るくらいの勢いで何事もこなしたいものである。

青年一人きりのサバイバル

サバイバルの手法の一つ一つについては今までに色々と語ってきたが、個々の技術についてのものが多かったと思う。が、サバイバルはそれらの技術が全体的に機能することが重要である。

今回紹介する動画は、一人でのサバイバルを実演している。まずシェルターを作り、弓錐で火を熾し、水を川から得て、無事に2泊3日すごしている。

シェルターは岩肌を利用したシェルターで、上半身裸になるくらい暑い時期だが、そこそこ涼しいようである。

また、火を熾すにあたって、ガマの穂を火口に使っている。初めは斧と石を打ち合わせて火花を得ようとしたが、難しかったようで、より確実な弓錐での発火に切り替えた。しかし、それもなかなかに手間取り2時間ほどかかったようである。

水を川に求めたときには彼は自らの脱水症状について語る。キャンプで2日間にカップ2杯の水しか飲まなかったとき、3日目にはひどい目眩と吐き気に襲われたそうである。

その後、自然のベリー類を採取などし、日を終えた。

彼は2泊を無事に終えたが、それ以上となるとどうなるかは分からない。けっして、英雄的なサバイバリストではないからだ。

これらを見ると、全体としてのサバイバルの厳しさが見えてくる。

練習が足りないと、必要なときに火を得ることができず、多大な労力を必要とする。また、シェルターは構築に時間がかかり、早く始めないと日が暮れてしまう。水だって動画ではきれいな川があったからそのまま飲むことができたが(しかもきれいに見えても飲用に危険な場合もある)、危険な場合には沸かす手間もある。食料についても、細かく触れては居なかったがレクリエーション程度の量の様である。

これのみで生活するにはかなり不十分であり、また労力がかかりすぎるのである。これは特殊な訓練を受けたわけではない人間であれば当たり前のことであるのだが、だからこそ一つ一つの技術を確かなものにするため、レクリエーションとして練習するのが良いし、また適した道具を持つことでより労力を少なく効果を大きくするのが重要なのである。