石を使った暖房

体温の保持は健康上大きな意義があり、サバイバル時には生死を左右する問題となりうる。そのため簡易な構造物(シェルター)で身体を保護するわけだが、それでは足りない場合もある。

冬であったりしてシェルターがあるだけでは体温を保持できない場合に、焚き火などをして加熱してやる必要があるが、シェルター内で火を焚く場合は火災の危険があり繊細な注意が必要となる。(一方で煙による虫除けの効果はあるが)

そういうときに簡易で安全性の高い方法として、加熱した石をシェルターに持ち込み、それでもって暖房とする方法である。

一番簡単な方法としては焼け石をそのままシェルターの構造の下に入れてやることだが、石の温度によってはシェルターの構造物が焼けてしまうからベット状の構造の下に入れてやるなどの工夫がされたシェルター限定であろう。石の温度が木の棒でつかみ上げて煙が出ないくらいなら体に触れない場所に置けば大体の場合において暖房として利用できる。

上の動画では焚き火の周囲に置いた石をそのまま下に蹴りいれているが、石の温度によってはこのように足でぞんざいに扱うと、靴が焼けたり、素材によっては融けてよろしくないので、木の棒などで移動させるのがよいだろう。

他にも、もっと低い温度の石を利用すれば(大体、50℃くらいか)、湯たんぽのように利用する温石(おんじゃく)のような利用もできる。ただし、低温火傷を含む火傷には十分に注意していただきたい。

何はともあれ、工夫次第で石は暖房器具となるのである。

地面での湯沸し

火は焚けるが鍋は無い。そういう状況というのは結構あるものである。

そもそも、火をおこすこと自体は原始的なもみ錐式の発火法(もみぎりしき:手をすり合わせて棒を回転させて行う発火法)などで行えるため、木とあとはとがった石でもあれば木を加工して発火することができる。

一方で鍋は火に耐えられる素材で、なおかつ容器状でなければならないので、簡単に得られるような物ではない。水を沸かしたりするのに大変便利な道具であるが調達は容易でないのだ。

しかしながら、それでも水を沸かさないとならない状況という物はある。サバイバル時では治療など望むべくも無いので万が一にでも水にあたってしまうわけにはいけないが、水は摂取しなければならないので、川だろうがどぶだろうが、水をなんとかして飲まなければならないからだ。

鍋がないからと煮沸しないわけにもいかず、何とかしなければならないときにそれを何とかするすさまじい方法がある。地面を容器にして焼け石で水を沸かすのである。

上の動画では掘った穴に粘土を貼り付けているが、湿らせた土を練った物でもある程度の止水性があり、水溜りを作ることができる。

この方法であれば、鍋が無かろうとも火と石があれば水を沸かすことができる。土も灰もゴミも少しばかり入るかも知れないがまとめて煮沸し消毒してしまうから大きな問題はない。

なお、もちろんのことであるが、味はひどいレベルであるから鍋が調達できる場合はそのほうがいいのは言うまでも無いことであろう。

電気無しで米を炊くこと - 鍋での炊飯

日本人は米を主食として食べる。よって、家庭にはたいていの場合米がいくらか備蓄とまで言わないレベルでも保管されているだろう。しかしながら、現代では炊飯器が普及しており、個々人の炊飯技術自体はほとんど無いといってよいまでの状況になっている。

災害時などで電力が使用不能になったとき、家庭内に置いてはプロパンガスであれば通常のコンロが使用可能であるし、無くてもカセットコンロを用意しておけば、ガスによる調理は可能である。そういったとき、冷蔵庫内の痛みやすい物から順次調理し食べていくことになるのであるが、主食である米を調理する経験を普段から時たま行っておくとよいだろう。

昔はガスコンロでもって炊飯をしていたわけであるし、もっと昔ではより難しいかまどで炊飯をしていたわけであるから、実際可能なのであるからして、少しばかり練習すればそこそこのレベルで炊飯ができるようになる。

ひとまずガス火で練習するのがよいと思う。いきなり七輪や焚き火などでの炊飯はレベルが高すぎてうまくいかないと思われる。炊飯器の炊飯は、電気による安定した熱量とコンピュータによる綿密な制御による物であれだけ安定した炊飯ができるのであるが、火で炊飯する際には人間の感覚をもってして、炊飯の状況を見極める必要があるので、火力の調節を気にしないでよいガスの火で慣れておく必要があるからだ。

下の動画ではキャンプなどアウトオア用のガス(いわゆるOD缶)で炊飯しているがカセットコンロや通常のガスコンロでも練習になる。

鍋で十分に炊飯ができるようになれば、火を熾せば炊飯可能になる。炊飯自体に慣れれば残るは火力の調節の問題になるので、ガス火で炊飯に慣れてしまえば、あとは焚き火のスキルの問題になってくる。

なんにせよ、米はそれだけで保存のきく食料であり、これを災害時に活用できることは大いに利点があるからその調理、炊飯の技術は持っておきたいところである。