災害時の情報機器について考える

災害時に適切な行動をするためには情報収集が重要になってくる。特に津波などの警戒情報は生死を分けるほどに重要な情報となってくる。

災害時には家庭に据え置いているテレビ等で情報を得る場合もあるが、甚大な被害が発生している場合には大抵の場合は停電していると思われる。そこまでの被害で無くとも局所的に停電になる場合もあるから、災害時の備えとして用意する情報機器は家庭の電源に依存しない携帯式のものが望ましい。

携帯する情報機器として安価で一般的なものはやはりラジオだろうと思われる。ラジオは構造が単純で小型化しやすく、画面の表示等の電力を多く消費する部分がないので電池の持ちもよい。消費電力の少なさから手回し発電で駆動するものがあるのもよい。

ラジオは音声情報のみであるが、携帯式のテレビもある。テレビは、携帯式のものは総じて画面が小さいが、それでも音声情報だけよりは情報量が断然大きい。ラジオだと自分の居る地域の情報が放送されるまで時間がかかることもあるが、テレビであると一覧表示をしていたり、様々な方法で情報を知らせてくれるので短い時間で情報が得られる。

近年では一番身近においている情報機器として携帯電話が挙げられるだろう。今ではたくさんの人が所持しているこの小さな情報端末は、よく知られているように災害時には通信の増大によって接続が困難になる場合もある。したがって情報の収集に際して携帯電話を第一のツールとすることはできないだろう。であるから、あくまで補助的に、また自分から何か発信する必要がある場合に使うにとどめておいた方がよい。機種によってはテレビ放送を受信できる場合もあるから便利であるが、バッテリーの消耗につながるから災害直後などの短期間の利用にとどめておく方がよい。

情報無しで闇雲に動くのはライトを持たずに夜道を歩くのに似ている。ラジオは安いものであれば1000円かからないので絶対に一つ備えておこう。

災害時の持ち出し品について考える

災害時に備えて多くの人が非常用持ち出し袋などを用意して備えている。その内容物について考えてみよう。よく売られているセットのものは、過不足なく、しかも安価にとはなかなかいかないもので、付け足したり不要と思うものは除いたりする必要がある。自分に最適な、そして予算にあった装備を整えるには、自らが1つずつ選ぶことが必要になってくる。

備える順番としては絶対に必要なものをまず揃えた上で、あると生存に有利なもの、快適になるものを揃えていこう。大抵の方は予算に限りがあるであろうから、少しずつ、できるだけ安価になるように揃えられるように心がける。

今回はひとまず、大まかにどんなものを用意するのかというのを簡単に紹介しよう。

絶対に必要なもの

絶対に必要なものとしては、

水(及び浄水器)・服(下着・靴下等を含む)・靴・ライト・メガネ・持病の薬

が挙げられる。これは、直接生命にかかわる、もしくは避難やその後の活動にきわめて重要な物資、装備である。特に持病の薬は避難所等に行っても備えられていることはないので必ずもっておかなければならない。

重要であるもの

絶対に、とは言わないまでも重要なものとしては、

身分証・携帯電話・ラジオ・手袋・金銭・食料

などがある。あまりかさばらないものが多いので、できる限り持ち出せる形で身の回りに置いておくようにしておきたいものである。

あると便利なもの・快適なもの

他にも便利に使え、なくても何とかなるけれでもあった方がいいというものがたくさんある。挙げていくときりがないが、思いつくものを列挙すると、

カセットコンロとガス・鍋・寝袋・ロープ・虫除け及び殺虫剤・各種医薬品・携帯トイレないし簡易トイレ・包帯・さらし布・針と糸(裁縫用具)・アウトドア用品(テント等)・発炎筒・スコップ・手回し発電機などの発電装置・調味料・バケツ・工具類

等々、かなりいろいろなものが挙げられる。また、このほかにも各人において欠かせないものやあると便利なものは異なってくることから、重量と容量を見ながら揃えておきたい。

各々の事情・ポリシーに応じて追加するべし

上に挙げた物品はあくまで一例である。使いこなせるかどうかや必要と感じるかどうかは人によるだろうと思われる。それぞれの物の詳細についてはいずれまた解説するが、基本的には生存に直結するところ意外は自分の譲れないところ、災害時でも我慢ならないところを満たすように備えていっていただきたい。

地震の後10分でするべきこと

地震の揺れが収まって無事だったとき、やれやれと終わらせることはできない。生命・財産を守るためにやらなければならないことが数多くある。大きく分けると被害拡大の防止と情報の収集である。

火の始末をして火を出さない

まず第一に火の元の確認である。ガスコンロやストーブの火の始末などは基本であろう。今では多くの機器で自動停止機能があったり、ガスの供給がストップしたりするシステムが発達しているが、停止機能の故障や、自動停止するほどの揺れでなくても落下物に引火、もしくは発火するような状態になっていないかも確認しなければならない。また、ガス供給の停止があった場合はコンロの火は消えるがガスは出る状態になっているから、コンロのつまみは消火の位置にし、元栓も閉めるようにした方がよいだろう。

電気製品も火災の原因に

次には電気の確認である。電気ストーブやコタツ、電気コンロなどの電熱器具は火災の原因となるから停止、および周囲の確認をするべきであるし、他の電化製品も破壊されてしまっているものは火災の原因となりうるから、そういったもののコンセントを引き抜き通電しない状態にする。また、落下物がコードを傷めてショートするなどのことも考えられるから、全体の被害を確認するのがよいだろう。一番手っ取り早くて確実なのはおおもとのブレーカーを落とすことである。ショートによる火災は気づき難いが通電していなければ発生しないからブレーカーを落としてから確認しておきたい。また、停電時でも、後に回復した際に火災が発生した事例もあるから、ブレーカーを停止しておきたいところだ。

正しい情報が身を守る

被害拡大の可能性を排除したら、次は情報収集である。といっても、停電の状況を想定するならラジオでの情報収集が主になるから情報収集しつつ他の作業も可能であろう。情報収集の重要な点は、津波の有無を知ることと、周囲の被害の大きさを知ることである。

津波の可能性があればとるものとりあえず高台に避難する必要がある。到達時間によっては救助活動ができるかもしれないが、津波のことを知らない、もしくは余裕がないのに救助等をしていては二次被害の原因となる。津波の可能性があればできうる限り迅速に避難しよう。

また、周囲の被害の大きさで救助や避難の仕方も変わってくる。被害範囲が広く、被害甚大である場合には、レスキューの到達や病院での治療に期待することが難しくなってくる。比較的狭い範囲であった阪神淡路の震災のときでも周囲の人の救助が大半であったが、より広く、大量の人が被災した場合、より難しい状況でもその場の人間が対処しなくてはならないから、専門家でなくともありあわせの知識で救命を行う必要があるだろう。狭い範囲の被災であれば、レスキューの手も十分に足り、医療機関も素早く対応できるであろうから、難しい要救助者は専門家に任せることができる。

少しでも早く行動して安全を確保することが重要

揺れの直後はひとまず安心してしまうが、貴重な数分を無駄にしないようにしよう。即座の行動と正しい方針の決定が生死を分けることになるのである。