ヒートリフレクタの重要性は温かさだけの問題ではない

寒い時期になると、なぜだか一段と火の関連の動画が面白く感じる。気温が低いと温かさが恋しくなるからだろうか。こういうときこそアウトドアの動画を見て楽しむのがよいだろう。ただ楽しいだけではなく、それぞれの動画にはそれぞれのアウトドアテクニックが見える。また、そのテクニックを解説してくれる親切な動画は特によい。

今回は前回も紹介したbushcraftbartonsの動画で、ヒートリフレクタを扱ったビデオを紹介する。

ヒートリフレクタは焚き火などの熱を反射するためのものである。焚き火からは多くの赤外線、可視光などが放射されそれが当たることで温かくなる。したがって四方八方に垂れ流すように放射させるのではなく、必要なところへ有効に作用するように反射を行うようにするのである。しかし、それだけではないらしい。

いうところによると、つまりヒートリフレクタは焚き火に当たる風もさえぎるため煙の方向が限定されるようなのである。煙があっちこっちに風が吹くままに吹き散らされると、それをどうしても吸い込むはめになるがそうなると休むどころではなくなることもあるだろう。そういったことをヒートリフレクタを構築することで少なくすることができるのである。

ヒートリフレクタをシェルターの真正面に設置してその間で火を焚けば、その煙が流れる方向は、風がシェルターとリフレクタによりさえぎられるためシェルターの左右に向かって流れやすくなるのである。

ところで、動画中ではシェルターだけでヒートリフレクタを設置していない。はてな、と思うだろうが、それについても答えてくれている。答えは「ビデオが撮り難いから」
なるほど納得ではあるが、タイトルからいうとシェルターよりリフレクターの方が主役なんだから・・・と思わないでもない。

凍える寒さの中での焚き火

冬になると寒いところでのサバイバルについて思いを寄せることが多い。私と同じく寒くなると極寒の地や雪の中でのサバイバルの方法を考える人はいるかと思う(とくにsuvtechを見ているような方には多いと思う)が、今回はその雪の中でのアウトドア活動の動画を紹介したいと思う。

アウトドアの動画では(とくに寒い時期の撮影であると)火を焚くシーンは多く見られる。状況の良い場合の焚き火には何の問題もないのであるが、雨の中や強い風の中、寒い時期などでは着火し難く工夫が必要になる。また雪の中などになると、積もった雪の影響で、乾燥した着火しやすい素材を得ることが難しくなったりもする。雪が落ちている枝を隠す上に乾燥もし難くし、また可燃物を冷却し火がつくまでに必要なエネルギーが大きくなるからである。そんな中でも生存のために火をつける技術を見てみよう。

当然、サバイバル状況下では潤沢な燃料の補給は望むべくもないから、そのあたりから燃料となるものを集めるべきであるが、特に着火の初期につかうティンダー(火口)を得るのは重要になる。人工物ではポケットティッシュやポケットの中の糸くずなどあるが、自然物からだとなかなかどう得て良いのか悩むものである。上の動画では立ち木の皮をティンダーとして使っている。手で剥げる皮は種火を大きくするための燃料として、またナイフで削ったより細かくふわふわしたものは火種をつけるティンダーとして利用している。この準備によって凍える寒さの中でも火打石と火打金の火花で火をつけることに成功している。

もちろんごくごく原始的な火付け方法だけでなく、ファイヤースチールのような近代的な火花式のものでも着火は可能であるが、同様の準備をしていればより確実に火を得ることができるだろう。寒すぎるとガスストーブやガスを使った着火装置などが動作しないときなどがある(ガスは物により一定の温度以下で気化しなくなる)ので火花式で着火できる知識もしっかり持っておきたいものである。

小さな固形燃料ストーブ - エスビットポケットストーブ

サバイバルで湯を沸かしたり、調理したりと火を使うことは多く想定される。暖かな飲料や料理は体を温め、体力と精神力の維持に大変に役に立つし、何より寒い時期では熱い湯の一杯が生死を分けることだってある。

それがゆえにサバイバルでは火が大事である。火熾しの技やストーブ類(アウトドアでストーブというと調理などのために火を出すものを言う)に注目がいくのも火が生命維持に大きく役立つものであるからだ。

一番手に入りやすく、また持続性が高いと思われるのは薪を拾っての焚き火である。災害時、遭難時などサバイバル時に最小限の装備で焚き火は可能であり、また燃料も特殊なものでないから薪を集めれば長時間焚き火を続けられる。サバイバルといえば焚き火といって良いくらいである。

しかしながら、焚き火はその開始と撤収に時間がかかる。焚き火のための薪を集め、焚き火構造物を作り着火し、火が大きくなるまで調節してやる必要がある。また焚き火終了後、消火を確実にして火災の発生を防がねばならない。つまり、手軽ではあるが手間と時間がかかる、いわば鈍重な方法といっていい。

こういった焚き火の性質は、拠点をもってそこでしばらくすごすならば良いのであるが、避難中やその他の目的での移動中では足かせとなるものである。焚き火を熾せず休憩時に水を煮沸して飲めないとか、または休憩が長引き移動が遅くなるなどが考えられるだろう。

そういったことにならないように、登山などの際にはガスやアルコール、ガソリンといった燃料で調理等を行うようにすることが多い。もちろんそれは環境へのダメージを考えてもいるのであるが、薪を探してまわるなどするよりも断然フットワークが軽いのである。

だが一方でそういった液体・気体の燃料を使うストーブは少しかさばる装備となりがちである。ガス缶とストーブ本体と五徳、もしくはガソリンストーブ本体と燃料タンクなどアウトドアに慣れない人には少しばかり大仰に思える装備となってしまうし、避難用のパッケージとして極小の構成を考えるときには入れることができないサイズとなってしまう。

そういったことを考えたときに、最適と言えるのがエスビットストーブである。

Esbit(エスビット)ポケットストーブスタンダード ES20920000

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この小さなストーブは長辺でも10cmという極めて小型で携帯に良い。基本的には付属の固形のタブレット型の燃料を使うが、この付属の燃料も携帯に向き(煤は多く出るが)燃焼時間と熱量的にも簡易な利用では不足は無い。このストーブは固形燃料の燃焼用の台としてだけでなく五徳としても働き鍋などを置くにも十分な機能を持つ。

エスビットストーブはさほど大規模な利用を想定した装備ではないが、燃料タブレットを複数使えば炊飯などの用途にも使うことができアイデアしだいで幅広く使える上に携帯性がいいので、トランギアのメスティンと同じく愛好家の多い道具でもある。メスティン同様、価格の安いことも使用者の多さにつながっているかもしれない。メスティンとの組み合わせだと、エスビットストーブがメスティンの中に入るため、携帯性のよさを最大限に発揮することが可能である。

エスビットストーブの利用のアイデアは、その愛好者の多さもあってか、調べるいくつも出てくるが、基本は燃料の燃焼台と五徳としての使用である。コンパクトですぐ展開でき、シンプルで扱いやすいという道具として大変優れている。付属の燃料は好みが分かれるところである様だが、他の固形燃料を代用する方法もあるので好みのものをさがすといいだろう。

コンパクトで展開も撤収もしやすいストーブであるエスビットポケットストーブ、避難用の装備に小さな空きでもあれば利用を検討してみてもよいのではないだろうか。