火の点火から利用まで - 火の扱いの記事まとめ

サバイバルでは火を使うことは基本と言えるだろう。調理や暖房、証明のために焚き火をおこし、効率的な形で利用することは生存の大きな助けになる。そもそも人間のほかの動物に対して優れる点は火と道具が利用できることである。火を利用して色々な環境に適応できるようになったことが生存性の向上につながり、人間の生存域を広げたのである。

このsuvtechでも火に関することは様々に語ってきた。今回はその記事の中から、一通り火の利用が出来るようにピックアップして紹介してみようと思う。

点火・着火

点火と着火は何も手に持たない場合は根気の要る大変な作業である。しかし専用の点火装置があればいくばくか手軽に火をつけられる。

ファイヤースチールで火を熾す

また、道具が無いときでも根気があれば何とかなるということでもある。かなり原始的になるが摩擦式の点火法がある。

単純な道具による発火:弓錐による発火法

焚き火の作り方

点火だけでは火の利用はできない。点火した種火を焚き火にまで大きくする必要があるが、得られる薪や周辺の環境、またそれぞれの趣味などで作り方は様々である。定まった状況は少ないので数多くの焚き火を見て感覚を理解する必要があるだろう。

暖を取るために焚き火を作る

焚き火を楽しんで知ろう

また、雨の日などの苛酷な環境でも工夫をすれば火を得ることは可能である。

雨の日の焚き火の仕方

特殊な焚き火

焚き火は大抵かまども何も無く地面の上でそのまま行うものであるが、少しの工夫で火が使いやすくなったりするものである。穴を掘るだけで煙が少なく火を使えるようなやり方もある。

特殊な焚き火:煙の少ないダコタファイアホール

また太い木を効率的に、しかも利用しやすく燃やす方法もいくつかある。

持ち運びのできる焚き火? - スウェディッシュトーチ

ラーパナントゥリ - フィンランドの働く男たちの火

丸太のままで火を - ラコヴァルケア

火の利用

火を利用する方法は食品の加熱・調理、水の加熱殺菌、暖房などである。水の煮沸ができれば水の利用も安全にできる。

焚き火で湯を沸かす

また食品では炊飯(野外で行うものは炊爨)をすることができ、保存に優れる穀物(米)を炊き、食べることができる。

電気無しで米を炊くこと - 鍋での炊飯

暖房での利用も焚き火にあたるだけでなく、工夫することで便利に、効率的に利用することができる。間接的に熱を利用することで保温もできる。

効率よく焚き火で温まろう - ヒートリフレクターを作る

石を使った暖房

どんな時代でもサバイバルの基本は火である

どういったサバイバル用品、災害用装備が出てきたとしても、原始的で基本的な火の利点は消えることはない。生き残るためには装備が万が一無いときにも活用できる知識を持つことが重要であり、火の技術はその基本なのである。suvtechにおいてもこれからも折に触れて火に関するテクニックについて紹介していきたいと思う。文明の始まりとも言われる火を手にして、生き残れる人間となろう。

松脂キャンドルを作る

サバイバル時の夜間照明は大変に問題である。電池式のライトが使えれば良いが、そういった状況ばかりとは限らない。焚き火や松明はそういったとき使える明かりであるが、いささか大きく大仰になりがちだ。

そういったとき、使えるのが松脂である。松脂は安定して燃えやすく、わりと長時間燃える。燃料としてちょうど良く、そして自然にある植物、比較的一般的な松から得られるのでうってつけである。

この場合は穴を開けた木の棒に松脂をつめてキャンドルとして利用している。火口を乗せて点火すると、しばらくすると松脂がとけ、成分が気化し燃焼をし始める。始めのうちは火口だけの燃焼なので手で風をさえぎって炎が安定するのを待っているが、しばらくすると松脂に点火するのでそうすれば炎は安定し少々の風では消えることはなくなるだろう。

本当に松脂は利用法の多い材料である。今回は火、明かりとしての利用法であったが、他にも様々利用法がある有用で、重要なものである。

松脂で火をつける方法

松脂はロジンとテレビン油を主な成分とする樹脂である。これは可燃性で点火すると燃え続ける。プラスチックなども加熱し続けると燃えるが、その燃焼の性能は高い。同様に松脂も点火するとしっかりと燃えるいい火になる。

また、松脂の成分のテレビン油は揮発性がある。揮発性がある可燃物は総じて燃えやすく、点火しやすい。例えばガソリンなどは揮発性燃油であり、大変燃えやすい。またアルコールなども揮発性がある可燃物でこれも点火・燃焼しやすいものだ。そういったことからテレビン油を多く含まれた状態の松脂は点火しやすいのである。

動画では、松のこぶの様になっているところにナイフで小さく穴を開け松脂を取っている。このようにして松脂を取ると、若干木を傷つけることにはなるが、新鮮な(つまり揮発成分が多く残る)松脂を得ることができる。松脂は流れ出てすぐには液状で流動性があるが、その後空気に触れていると、揮発成分を失い、また他の成分も粘度を増して固まり始める。したがって点火のために使われる松脂はできるだけ揮発成分の豊富なほうがよい。

それによってメタルマッチなどで比較的容易に火をつけることができる。松脂で作る火は、少しくらい湿っていてもちゃんと点火でき、持続する。動画でも雨の日であり、濡れた木の皮に松脂を集めているがきちんと点火している。