サバイバルに関心のある人々のうち、プレッパーと呼ばれる人々は薬品・食料等を備蓄することを重要視する。サバイバルで食料の問題は重大な関心事であり、大なり小なり誰もが備えるべきものであろう。前回は備蓄するとより非常時の生活の質が向上するものとして、日常であまり目にする機会のない食品であるが、全脂粉乳を紹介した。
今回は同様にあまり目にすることはないものであるが、乾燥卵を紹介しよう。乾燥卵は乾燥卵黄・乾燥卵白・乾燥全卵とあり、どれも製菓・製パンでつかわれることが多いが、実はそれぞれ味だけでなく性質が異なる。ここでは、一番分かりやすいスタンダードな乾燥全卵について解説しようと思う。
乾燥全卵は、全卵、すなわち卵の全部を混ぜて乾燥させたものである。乾燥全卵15gに水45g、つまり1:3の割合で水を加えたものがおおよそ卵1つに相当するような分量で利用できる。加熱すればきちんと固まり、卵だけの料理に利用することも出来る。
ただし、風味の面では生の卵に大いに劣ることは否めない。卵単体の料理では特有の卵の風味が重要になるが、粉末化に際しての加熱乾燥により特有の風味は大きく損なわれてしまうからである。が、一方で卵のそういった風味が苦手な方にはいいかもしれないし、またそういう特有の風味がさほど重要でない料理、そもそもの利用目的である製菓・製パンに使ったり、例えばお好み焼きなどのほかの混ぜ物が多い料理であれば風味の低下を気にせずに利用することができるだろう。
私のおすすめはホットケーキに利用することである。日本のホットケーキミックスは卵と牛乳を加えることでミックスを完成させるようになっていることが多く、手軽な料理なわりに流通に大きく依存している料理になってしまっているが、これを前回紹介した全脂粉乳と乾燥全卵におきかえてしまえば、保存性が高く調理もしやすい甘い食事とすることができる。
卵は菓子に使われる頻度も高く、気分を高揚させるのに効果的な食品の一つである。非常時には食は大変に気分を左右する要素の一つになりうるから、徹底的に備える気がある方々は前回の粉乳とともに検討してもらいたい。
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