松脂で接着剤を作る

自然物で道具を作るときに、部品ごとに作り、それを組み合わせて作る場合があるが、その固定方法は使える素材によって限定されてくる。

木と木であれば、ほぞとほぞ穴で組み合わせたりするし、紐や蔓性の植物を使って縛り付けて固定したりする。石と木であれば紐でくくりつけたりする。また石に穴を開けてそこに木を通して固定するなどもある。一方で、野外で十分な道具もなしに石に穴を開けるのは困難を伴うし、他の方法も小さいものなどでは難しかったりもする。

そういうときに、木工ボンドや瞬間接着剤など、接着剤が欲しくなるときがある。接着剤は、木の接合部を補強したり、組み合わせるだけで固定できないものを固定するのに役に立つからだ。

自然の中でもそういった接着剤を得ることは可能である。松脂を用いるのである。

松脂はそれ自体が天然の樹脂で、加熱すると柔らかくなり、これを用いて接着することができる。また、松脂はそのまま使うだけではなく、他の素材を混ぜることで性質を変化させることができる。

動画では、炭の粉とウサギの糞を混ぜている。

炭の粉は松脂が固まったときにより硬くなるようにする。また、ウサギの糞は、草食獣の糞全般にいえるが、草食動物でも消化できなかった強靭な繊維が多く含まれており、これが各所をつなぎとめる役割をすることで、固まったあとの松脂が割れることを防ぐ。

こうした混合物の接着剤を作ることで、例えば鏃を接着し矢を作ったり、穂先を棒につけて槍を作ったりできるようになり、工作の幅が広がるのである。