飲める消毒薬? - スピリタスウォッカ

サバイバルでは傷の手当も自分でできることが望ましい。絆創膏などの小さい傷への対処はもちろん、大き目の傷への備えもしておかなければならない。

さすがに動脈に達するような深い傷などにはさほどの対処もしようがないが、擦り傷などの広範囲の傷には一般人の知識と道具でも対処可能だ。こういった傷には清潔と保護が大事で、放置するわけにもいかないから、薬品と道具を準備して対応できるようにしておきたい。

傷口への対処といえば、思いつくのは消毒薬である。本来、十分な量の清潔な水があれば傷への対処は洗浄が第一であるが、水の量が確保できない場合、また水が少し清潔ではない場合には消毒薬に頼らざるを得ない。消毒薬はオキシドールやヨードチンキ、消毒用アルコールなど色々あるが、どれも他用途への流用は効きづらく、荷物を圧迫するので持ち歩き難いところがある。

そういうことで、流用の効く消毒薬が求められるわけであるが、いくつかそういう用途で消毒薬と同時に他の用途に使えるものはある。

例えばうがい薬は消毒に使え、また浄水に流用することができる。水の味は悪いが衛生上問題ない水が欲しい場合に使える。また、浄水剤は濃度が高いと消毒薬としての利用も可能だ。皮膚への負担が大きくなる可能性があるが、感染の危険と天秤にかけて、状況によって使い分けたい。

一方で、食品から消毒に転用できるものもある。酒である。

蒸留酒においてはその消毒能力はよく言われるところであり、たとえば食料品の腐敗予防でアルコールが添加されたりすることがある。娯楽作品の中などで傷口の消毒のために焼酎などを吹きかけるシーンもあるが、なかなかに食用にされるアルコールでも馬鹿にできない効力がある。

なかでも一番アルコール度数の高い酒としてスピリタスウォッカがある。単純に蒸留するだけの場合の理論上最高の度数をもつこの酒はそのまま飲むだけで喉がただれるほどの威力がある。薄めれば飲用にも適するし、濃度がすこぶる高いので引火するから燃料としての利用法もある。そして当然、消毒用としても利用できるのである。多様な使い方のできるサバイバルには良いアルコールであるといえるだろう。

ただし、消毒用として使うには少しばかりアルコールが強すぎる。食用アルコールであるエタノールが消毒力を最高に発揮するのは80%程度であり、スピリタスウォッカは96%程度あり、少し薄める必要がある。それでも消毒はできるから、なかなか使えると思ってよいだろう。

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