食事を温めるときに、一番単純なのは鍋で火にかけて温めるということだ。日常でも良くされているが、この方法は火を必要とする。また、レトルトパックなどは温めるときそのまま湯の中で茹でて加熱することもある。開けて鍋で直接加熱するにせよ、パックされたまま加熱するにせよ、どちらにせよ加熱には火が必要になってくる。
サバイバル中では火を使うのも一苦労であることがある。乾いた薪がなかったり、火を熾す準備をする時間がなかったり、もしくは煙が立つことが許容されない場所であったり、いろいろな事情で火を使うことが難しい場合もある。そういったときの代替手段を用意しておくことは悪いことではない。
今回紹介するモーリアンヒートパックはその火に代わる加熱手段の一つである。水を入れることで反応・発熱する発熱剤である。水が調達できれば、加熱用の袋に発熱剤と水を入れてパック入りの食品を加熱できる。
同様の加熱用品がMRE(アメリカ軍の軍用糧食セット)のオプションとして付いていたりすることもある。この種の発熱剤は火をつけるわけではないので、湯気は出ても煙は出ない。煙が出ないというのは重要で、煙が立つと遠方から敵に発見されることもあるから、軍事組織では重要な点であろう。
サバイバル、災害用品として備えるときは別に敵からの発見を気にしなくても良いのではあるが、火を焚かず、水を入れて加熱するというのはなかなかに便利な点もある。日本は水害も多く、住居や周辺環境全てが水浸しになるときもあるから、火を焚くための燃料を調達することができない可能性も考えなくてはならない。そういうときに水を注げば加熱できる装備があれば温かい食事で体を温めることができるだろう。
このヒートパックはある種特殊な装備であり、あまりこれをメインにすることはできないだろう。扱いも一癖ある(水素ガスが発生するので換気のいいところで使用する必要があるなど)し、火を使うほかの器具(固形燃料などの加熱器具)と比べても割高な感があるからだ。しかしながら他の全ての加熱用の装備に無いアドバンテージがある。様々なシチュエーションに対応するための特殊装備としては大変に意義深いものであるから、1つ2つ用意することを検討してはどうだろうか。