人はパニックになる! - 冷静に対処するためには

例えば映画などで、危機的な状況のときに自ら危険に向かうような行動をするさまが描写されたりする。さて、これはおかしなことだろうか、ただの創作上の演出?そんなことはない。誰にでも起こることだ。

突発的な状況にパニックになるというのはそんなに珍しいことではない。突然のことに思考が追いつかない、また正常な判断ができないということはよくあることである。そもそもパニックはすばやい避難を促すための生理的現象ともいわれており、パニックの大本となる精神構造は誰でも持っている物なのである。

一方で、複雑な建物や、大勢の人間集団の中に居るときなど、単純に出口へ向かうだけでは危険な場合においてはパニックになっては危険である。また危機に対処する立場の人間がパニックに陥っていては正常で的確な行動などできない。

したがって、パニックにならない、もしくはパニックから早く立ち直ることが必要である。そのためにはどうしたらよいのだろうか。

その方法の1つは自らを含めてパニックに陥るのだということを強く認識しておくことである。大抵パニックに陥っている人間はそのときパニック状態にあるという認識はない。自分の行動が焦燥感にあおられた正常でないものだという考えは出てこないものである。

さらにいうなら一度パニック状態を経験してみるのがよいだろう。一度パニックになるとそのときは分からなくとも後でパニックであったと分かるものなので、パニック時の心理的状況についてよく知ることができる。そうして知っておけば、似たような心理的状況になったときに、自らがパニックになりかけているということを意識することができる。パニックになりつつあるということが意識できればそれ以上の混乱が抑えられることも多く、パニックからの復帰が早くなるのである。

また、状況に対しての訓練をつんでおくというのも対処としては効果的である。種々の避難訓練などは緊急時の行動を何度もすることによって混乱を少なく避難できるようにするものであるが、こういった反復訓練は想定された状況が起きたときに何をしたら良いかの指針を与えてくれるので、何をするべきかの選択肢に迷うことが無いのでパニックに陥り難くなる。

パニックというのは災害そのものと比べて脅威が低く見られるところがあるが、場合によってはパニックが大きな被害を出した例もあり、死に至らしめる危機であると認識しておこう。パニックは更なるパニックを誘発することもある。自らがまず冷静に行動できるよう、そして周りをパニックから立ち直らせることができるよう、パニックへの対処を意識しておきたい。