サバイバルで狩りをする意義

長期のサバイバルで重要となってくるのは食料の調達である。活動のためのエネルギーだけでなく、生存のための基礎的エネルギーを得るためにも食料を得てゆくことが重要であることは、さほど言うまでもなくわかることであろうと思う。現代の日本では日常生活において食料の調達に難儀することはないが、200年ほどさかのぼれば食料の確保は一大事であったし、今現在でも流通が止まったり大規模な破壊がありサバイバル状態に突入すれば食料の入手は非常に困難になるだろう。

食料の入手経路の遮断などの事態に備えて食料を備蓄などするわけであるが、それにしても長期になれば底をつくことは必然である。小規模な災害であれば外部からの補給も期待できるが、大規模であったり僻地であったりすると補給は断絶する可能性が高くなる。そのようにいくら備蓄しようとも食糧は有限で、補給を外部に頼るにも限界があるから、事態が長期に及ぶことを想定するのであれば、何かしらの食料入手手段を準備しておくことが重要である。

食料の入手法を考えるとき、古来からの方法を省みると、陸上では農耕と狩猟・採集によって人間は生活の糧を手にいれていた。現代では農耕と畜産が主な手段となっているが、古代では(そして最近でもいくつかの地域では)狩猟と採集はメインとなりうる方法であった。現代でも小規模であればそういった方法で食料を調達することができる。

現代の方法で言うと、総じて計画的な生産を求められるため事前の準備が十分でないと難しいものである。農業は収穫の時期に縛られるし次の収穫までの時間は長い。畜産にいたっては飼育の期間の長さに加え各種の家畜に対する専門的な知識が無ければ実用的に利用可能なほどの生産は難しいことから、一般的に勧められる方法ではない。したがって、サバイバルを想定して綿密な生産体制を作って維持するのでないならば、古来の方法に則って、狩猟と採集をもって食料を調達するのが良いだろう。

では、狩猟と採集はどちらの方がよりサバイバルに適しているだろうか。狩猟と採集を比べると、動物との闘争となりうる狩猟よりも採集の方が断然安全で安定しているように思える。しかし、採集は季節によって得られるものが変わってくるうえに、その季節それぞれの植物に対する知識がないと危険なこともある(毒性植物、毒キノコなど)し、また他の動物の食料と競合する、つまり取り合いになることもあって、十分な量が得られない可能性もある。特に冬は植物の活動は大きく低下し、食用となるものを採集できる可能性は大きく下がる。

一方で狩猟は大変困難な仕事であるといわざるを得ない。そもそも狩猟で食料を得るというのは対象となる動物を殺すということで、これには相当な技術がいるのである。窮鼠猫を噛むというが、小動物であってもこちらに怪我を負わせうるし、その傷から感染症に罹患すれば生命の危機ももたらされるのである。安全に狩をして食料を得るのは知識を持っていないと危険な行為なのである。

しかしながら、狩猟の結果として得られるものは大変に魅力的である。危険の大きい比較的大きい動物、例えばイノシシをしとめたならば、数十キロの肉と皮が得られる。これは相当大きな利益である。1kgの肉のカロリーは(かなりいい加減な数字だが)おおよそ2000kcalであり一日分のカロリーといってよい量ある。実際はサバイバルなどは重労働であるから消費カロリーはもっと増える。なので必要なカロリーは3000kcalとか4000kcalとかになるだろうが、それでも10人日(10人が1日暮らせる、もしくは1人が10日)以上の食料となるのである。これはリスクに見合った利益になりうる。

サバイバルでは少しリスクを負う行為もせねばならない時もある。その場合に知識の有無はリスクの大小を大きく左右する。現代でも猟師が存在し、活動しているが、彼らの安全対策と猟の手法をいくらかでも学べばリスクを低減し、生き残る手段として狩猟をする選択肢も出てくるだろう。選択肢を広げ、より生き延びることができるように狩猟についても学んでおいて損は無いだろう。

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上は猟について扱った漫画。銃猟がメインだが罠やその他動物の生態、解体などにも触れている。漫画でこういった手法を具体的に扱い説明している物は珍しい。