食料調達に釣りが選ばれる3つの理由

サバイバルの際に重要なことの1つとして食料の調達があるというのは今までも繰り返し述べてきたが、その中で何度か釣りによる方法について触れていた。釣りによって、あるいはその他の方法で魚を捕まえてそれを食料とする方法はかなり全世界的に使われるサバイバルのテクニックである様に思われる。現にいくつかの市販されるサバイバルキットは釣り針とテグスからなる釣りキットを含んでいるし、サバイバル教本の類でも釣りの技術やその他漁獲の手段について解説している。

魚を獲ることがサバイバルにおいて有効な手法であるというのはまた、個人のサバイバリストが紹介する食料調達の方法として釣りやその他罠などの方法で漁を挙げていることからも分かる。サバイバルという状況を想定するとき、なぜここまでみな漁を手法として挙げるのだろうか。理由はいくつかある。

1つ目に動物を捕獲する手法のうちで、魚を相手にするものが一番難易度が低いということがある。例えば他の動物、イノシシなどの大型動物を相手に狩猟するのはかなり大変であることは容易に想像がつくし、蛇のような小型のものでも危険なものは多い。また鳥は捕まえるには手間のかかる罠か、弓などの大掛かりな道具が必要であるし、その他の小動物も警戒心が強く、容易に捕らえられるものではない。一方で魚の場合は釣りなどではレジャーとして楽しまれることも多く、形式や魚種にこだわらなければある程度漁獲が見込めるものである。また、水に落ちなければ安全度が高いという点も良い点であろう。

2つ目は道具がコンパクトであるという点だ。釣り好きの方々からすると、釣り道具がコンパクトというと首をかしげていぶかしがられることもあるだろうが、最小限の道具の話である。釣り針と釣り糸とがあれば、後は自然物で代用なりすればよい。木の枝を釣竿に、また木片を浮き、石を錘にすれば一通りの仕掛けはできる。もしくはそれらの道具を含めたとしてもコンパクトに収めることは不可能ではない。一番かさばる釣竿でさえ折りたたみ式のものがあったりするものである。したがって専用の道具を負担無く装備に含めることができるのである。

3つ目に魚は居場所がはっきりとしており、見つけやすいということだ。水中には多数の生物がいて、その行動範囲は水の中に限られるから水のある川や湖を探すことで魚を見つけることができる。陸上生物だと残された痕跡やそれぞれの動物の習性などから位置を推定して追わなければならないことを考えると、かなり見つけやすいといえる。面積あたりの存在密度も陸より高いという話もある。なんにせよ水場を探せばある程度魚が見つかる可能性が高い。また水場は生存のために水を得る必要性から必ず探さねばならないものであるから、特段追加で労力が必要なものでもないことも利点である。

サバイバル時では余計な労力とリスクは避けなければならず、また訓練をこなしてない一般人では慣れない行為であることも考えると、難しい行為を前提とすることは避けたほうが良いだろう。その点、釣りであれば(比較論ではあるが)上記の通りに組しやすいといっていい。また、日本では狩猟は煩雑な免許が必要であるが、釣りであれば許可が取れればさほど面倒な手続きをせずとも行うことができるから、訓練を手軽にすることもかのうである。

日本は海へのアクセスも良いから、食料調達の手段として釣りを選ぶことも有効であろう。特に趣味で釣りをされるような方はサバイバルでの利用を意識して、簡素な道具でチャレンジしてみてはどうだろうか。

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耐久性に問題があるものの、かなりコンパクトな釣竿が存在する。私の場合は道具に習熟してないのとより小さなパッケージを求めたので針と糸だけである。