飲料水は最高のレベルの浄水が必要とされる。これは、浄水器を用ればよい。もしそれがかなわなければ煮沸する等して安全な水を得る必要がある。飲料水の必要量は多いとはいえ、それなりに限定されるのでこの程度の労力は安全のためということで認められよう。
一方で、衛生用の水(洗顔や体を洗う、歯を磨く等)、食器や食材の洗浄用の水はいちいち浄水器を用いていては、浄水器のろ過上限にあっという間に達してしまう。また、すべてを煮沸消毒することはかなわない。であるけれども、これらの水の安全も軽視できるものではない。こういった用途に使う水は身体に直接触れ、場合によっては口に入るし、粘膜との接触もするからだ。
飲料水よりも圧倒的に多いこれらの水を効率よく消毒するためには、現代の水道システムから学ぶのがよい。すなわち浄水剤の添加によって水中の細菌等を死滅させる方法をとる。
まず、濁りの少ないきれいな水を得て、大きなごみや簡単にろ過可能な汚れは布を重ねたフィルター等の手作りで簡易にできるろ過器により取り除く。こうしてできた大きな汚れの無い水に対して、浄水剤を添加することにより細菌の死滅をはかり消毒する。
このとき使う浄水剤は色々と考えられる。銀を含む上等な浄水剤があるが、これは飲料水用レベルの高品質のもので高価である。また、一部の浄水器において、フィルターの能力が低いゆえに浄水剤が付属するものがあったりするのだが、これに添加されていたのは次亜塩素酸カルシウム(さらし粉)である。また、うがい薬として使用されるヨードにも殺菌の作用があり、浄水剤として使用されることがある。これはまた、傷の消毒にも有用だ。
ここで、一番浄水にポピュラーで大量に使用されており、しかも手に入れるのが容易な薬剤としては、次亜塩素酸ナトリウムであろう。水道に添加される塩素は、ほぼこれである。
次亜塩素酸ナトリウムは有機物と反応し、これを破壊(酸化)する。そして、役目を終えると塩化ナトリウム、すなわち食塩に変化する。この安全さ(つまり中毒しない)もあり、水道への利用がされている。塩素系漂白剤に入っているのも大体これである。このように次亜塩素酸は(トリハロメタンだの色々言われることはあるが)安全に浄水することができる身近な薬剤である。
しかし、実は次亜塩素酸のみの製品はそんなに多くない。塩素系漂白剤は次亜塩素酸が主成分であるが、洗浄・漂白効果を高めるために他の物質が入っている。特に次亜塩素酸の安定のために入っている水酸化ナトリウムは濃度が高いと身体へのダメージが大きい。よって、純粋な次亜塩素酸を手に入れる必要がある。水道添加用の次亜塩素酸も売りに出されているが気軽に購入できるものではない(ドラッグストア等に無かったりする)。
が、実は代用として利用できる次亜塩素酸の製品は実は大々的にテレビCMをしながら売られていたりするのである。ミルトンである。
ミルトンの成分を見てみると「次亜塩素酸ナトリウム 1.1 w/v% 添加物としてpH調整剤を含む」と書いてある。この成分の少なさ。これが赤ん坊の口に入る可能性のある消毒薬の安全性の根拠となっているのである。これをつかえば、ほぼ問題なく生活用水を消毒できるはずである。(必要以上に濃度が高いとよろしくないし薬剤の無駄遣いとなる。濃度については後日論ずる)
ただし、飲料水に対しての処理は不安が残るので可能な限りは浄水器なり、専用の浄水剤を使おう。
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