災害時の備えとして多くの人が購入しているであろう保存食、その一つにアルファ化米がある。これは古くは糒(ほしいい)、干し飯などと呼ばれるものがより食べやすく進化したものである。通常はこのアルファ化米はお湯ないしは水を注ぎ一定時間待った後に食するものである。食味としては非常食では十分ともいえるが、しかしながら炊き立てのご飯よりは数段落ちるという感がぬぐえない。最近は様々な味のものが出てきており、また味もだいぶ向上してきているようであるが、人によっては不満が残るものになるだろう。
さて、最初からアルファ化米の味をけなしてしまったが、しかしながら非常時に米の食事をとれるのはかなり精神安定につながる場合がある。日常に通じるものは精神を落ち着けてくれるのである。また登山家の知恵でお湯を規定より多めにし雑炊やおかゆのようにすると食べやすいというテクニックもある。軽量でコンパクトなアルファ化米はやはり非常食の定番となるだけの能力は有しているのである。
とはいえ、長期保存した後に入れ替えるときには日常のなかでアルファ化米を食するなどして消費する必要がある(廃棄してもよいのであるが、もったいなさすぎる)。味などが気にならない人は十分であるが、味の違いが我慢ならない人は交換のための消費にストレスを感じてしまう人もいるかもしれない。
ところで、アルファ化米は通常の場合には食べるのに水が必要となる。乾燥した飯を吸水させて柔らかくするので当然であるが、実は吸水させなくても食べること自体は出来る。そもそも消化しにくいベータでんぷんをアルファでんぷんにして、ベータでんぷんに戻らないように急速乾燥させたものがアルファ化米であるが、このアルファ状態自体は乾燥していようが吸水していようが変化しないため、さほど消化に影響しないからである。
上記のようなことからアルファ化米には袋を開けてそのまま食べるという選択肢がある。これはこれで味があっておいしいものであるが、ただしかなり硬いものなので注意が必要である。口の中でふやかしながら、歯に負担をかけない程度にかむように心がけるといい。この場合、お湯や水でもどした場合と比べてかなり味わいが異なるものとなる。通常の方法でのアルファ化米ではいまいちと思う場合は一度試してみるといいだろう。
アルファ化米をそのまま食べるというのはなかなか間食にいいのではないかと思っている。この記事を書く間もシンプルな白飯のアルファ化米をかじりつつ書いているが、小腹のすいたときに他の菓子のかわりに少しずつ消費すれば交換もはかどるかもしれない。少なくとも私はなかなかいけるお菓子として食べれているから、アルファ化米を開封したときには一つまみでもそのまま試してみて欲しい。