体を温めるため、また調理や照明のために火を焚くというのはサバイバルの基本である。つまり着火もサバイバルの基本であるが、その為に使う道具はそれぞれ長短あるものである。今回と次回の2回はそれら着火具について簡単な説明と長短をまとめて紹介したいと思う。
・マッチ
マッチはサバイバル用品として売られているセット商品に含まれていることの多いものの一つである。側薬(多くは茶色のベルト状の部分)に頭薬(マッチ棒の先の部分)を擦って火をつけるものがほとんどであるが、硬いヤスリ状(コンクリートなど)にこすり付けるだけのものもある。
長所は残量(回数)が目に見えて分かることや安価であること、そして何よりマッチの軸がそのまま焚き付けの一部となり、点火の際にマッチ棒を使い捨てに出来ることである。着火中に焚き火構造物に置き去りに出来るのはマッチだけである。
一方でマッチは水に弱い(濡れると着火しない上に、薬剤が溶けてしまうと乾いても役に立たないことがある)、マッチの軸が弱い(折れて着火に不向きになる)、風に弱い(火で消えやすい)などがある。これらの短所は対策した商品もあるが、大きさや価格、着火しやすさなどで不利な点も多い。また全体が可燃物であるので、火に近づけると延焼の危険がある。
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・ガスライター
ガスライターは現代において一番ポピュラーな着火具の一つといっていいだろう。ガスタンクに点火器具のついたもので、ガスを燃焼させて火をつくる。一般的にはタバコに点火するために用いるため、長時間(数秒以上)点火できるようには作られていないが、その他の着火用に作られたものもある。
長所としては、広く様々なところで販売されており入手性がよく安価であり、また点火も容易であることである。また一般的な品は小型で携帯性もよい。ガスライターは手軽であるというのが一番の利点であろう。
短所はプラスチックケースが多いことと、内容物がガスであるという点である。プラスチックケースのライターは、構造によっては長時間の点火に耐えられず熱で変形し、延々とガスを放出し続けるものがある。また内容物がガスであるため高温にさらされると爆発の危険もある。様々な点火に使えるように作られたチャッカマンなどでは長時間点火できるが携帯性はいくぶん犠牲になる。
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・オイルライター
オイルライターはガスライターが一般化する前は広く用いられたが、いまでは利便性というより趣向によって用いられている部分も大きいところがある。燃料が切れてもライターオイルを注入することで繰り返し使うことができる。
長所はオイルを補充でき、そのオイルの選択肢が多いということである。通常は推奨されるライターオイルを用いるが、ガソリンやベンジンなど揮発性油であればある程度使うことができる。もちろん通常使用では臭いや安全性の問題で推奨できるものではないが、非常時には役に立つかもしれない。また純正のライターオイルはカイロなどにも使用可能である。
その一方で、揮発性油を使用するという性質上、構造上の問題で使用しないでも燃料が揮発してしまい使用不能になる場合がある。対策したものもあるにはあるが、一般的ではないので備える場合には燃料と一緒に持っておきたい。
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・オイルマッチ
オイルマッチはライターオイルを使用したマッチのように使える点火具である。タンクに入れたライターオイルに点火芯を漬けて、側面のファイヤースターターを擦ることで点火を行う。
長所はほぼオイルライターと同じであるが、点火芯を焚き付けの下に差し入れるなどマッチ的な利用が出来る(ただしそのまま放置すると焼損するため点火後には引き抜かねばならない)。またタンクの蓋をかねた点火芯の軸がねじ止めであるため揮発によるオイルの減少が少なく、オイルライターと違って綿にしみこませるわけではないので燃料を取り出して他のことに流用できる。そして燃料が切れても側面のファイヤースターターは利用できるため火花による点火を試みることが可能である。
しかしながら、長所としてあげたものの影響で気をつける必要もある。タンクが密閉されるため、熱せられると爆発の危険がある。また液体の入ったタンクの側面を強く擦る必要があるので点火に慣れが必要であり、またタンクの燃料がこぼれやすいので注意せねばならない。
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・その他の方法
次回はファイヤースターター、ガスバーナー、摩擦式発火具、火打石について解説する。