サバイバルにおいて水濡れは危険である。日常生活でも体が濡れたままでは体調を崩す原因となるが、苛酷な肉体・精神の状況では濡れることによって急速に気力・体力が奪われることは致命的といってもいい。したがって体力消耗と低体温の原因である水気は早めに除去するのが望ましい。
体を乾燥させる方法としては焚き火に当たるなどの熱乾燥も一つの手であるが、火熾しの出来ない場合、もしくは手早くするという場合にはタオルで水を吸い取ってしまえばよいだろう。無論、タオル一枚では服が多くの水分を溜め込んでいる場合には服を拭いても効果が薄いが、その場合でも髪の水分を除去するだけでかなりの効果があるから体を優先的に拭きたいところだ。
タオルを備える場合には出来るだけ大きなものを用意すると他の用途にも流用できてお得である。タオルケット(タオル地の毛布状のもの)ほどの大きさになるとさすがにかさばるが、バスタオル程度のサイズがあれば色々と使いでがある。体を拭くにしてもフェイスタオルだと濡れきった頭髪を拭くくらいで湿りきってしまうが、バスタオルくらいあれば髪を拭いてなお余裕があるし、バスタオルくらいあればストールやひざ掛け、少し小さいが毛布の代わりに使えないことも無い。他にも丸めて枕代わりにしたり、端を結んで何かを吊り下げたりすることができるし、大きいので物を包むにもやりやすい。湯たんぽや温石(おんじゃく:温めた石)を包めば暖房の用途に使いやすいだろう。
さて、タオルも他の一部のサバイバル用品と同じように水濡れは厳禁である。濡れたものを拭くためのものが濡れてしまっては本末転倒であるから当然の話であるが、雨が降っても水に浸かっても乾いた状態である様にパッキングせねばならない。一部では真空パックしたものも売られていて便利であるが、持ち出し用品に入れるものは自分でパッキングしたものも用意するとよいだろう。というのも真空パックのものは形状が動き難い。しっかりと空気が抜かれたものは硬い板状になっており、収納場所の融通がきかないのである。そこで、大き目の衣類圧縮袋等で少しゆるめに圧縮しておき、バッグの隙間を埋めるように入れるなどしてスペースの有効活用をするのである。持ち出し用品の中には形状の決まっている物が多いので、その間を埋められるものがあるとより効率的に装備を持ち運べるのである。
あるもので創意工夫を凝らすといっても素材の基本的機能は変えられない。ビニールシートの不透水性や金属製の缶や鍋の耐火性など、工夫の届かない範囲はあるものである。タオルの吸水性能も同様である。無くても濡れなければ困らないかもしれないが、しかしあれば確実に役立てることが出来る素材であろうと思う。
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