サバイバル時の食料問題は、シェルターや水の問題と比べて優先度が低いものの極短時間で致命的にならないだけであって容易な問題というわけではない。水が手に入りやすい環境でも食料の調達がままならない場合もあるし、食料が手に入りそうなところでもそれを手にするまでに道具などの準備が必要な場合もある。そういった場合に活力を保ったまま行動できるように携行食ないし非常食といったものを用意しておくわけである。
一般的に非常食などの類のものは菓子類のような開封しただけで食べられる完成した食品であるか、アルファ化米やインスタント麺などの簡単な調理で食べられる半完成の食品であることが多い。そして特に長期のサバイバルを安価に備えることを考えると、ここに米や小麦などの穀類そのものや乾燥野菜などが入ってくる。そこまでいくと単品での味はあまり期待できないか単調になりがちであり、バリエーションを増やし質を高めるために調味料の類が必要になる。調味料はまた、自然界で食料を得たときに調理する上でも重要になってくる。
サバイバルで調味料というとよく挙げられるのがカレー粉である。カレー粉は豊富なスパイスのおかげで食材の臭みをうまくごまかしてくれる上に、スパイスの薬効により体調を整えてくれる効果も期待できるためにサバイバル時には心強い調味料である。カレー粉自体の栄養価は微々たる物であるが、その心理的効果、味覚への貢献はかなり大きいものである。しかしながら、カレー粉そのものを備蓄しているのはどれくらいの割合であろうか。カレーライスを作る家庭のほとんどはカレールーを利用しているはずである。一部の健康志向の方々は油脂を多く含むカレールーを嫌ってカレー粉を利用していたりするが、手軽にカレーライスに出来るカレールーが一般には利用されているだろう。であるから、備える場合でもカレールーを利用した方が日常利用での入れ替えが見込めるだろう。
さて、前述したがカレールーは油脂を多く含んでいる。これはカレールーが非常の事態ではカロリー源として見込めるということでもある。カレールーは100gあたり500kcal以上のカロリーが(低カロリーをうたっている製品で無ければ)一般的にはあるために、1kgのルーがあれば極端にいえば2日間暮らせるだけのカロリーが得られる。カレールーを湯に溶いただけのカレースープとすれば水が多少おいしくなくともカレーの味でごまかせるし、また米などを備えておけば具の無いカレーでもおいしく食べられる。スパイスはきついがそのまま食べることも可能である。もちろん、獲得した食料を調理するのにも重宝するだろう。
カレーはインドからイギリスを通って日本にやってきたが、いまや日本の国民食、日常の象徴といってもいい。またアウトドア料理の定番でもある。活力を与えてくれるカレーはまた、サバイバルにおいても強力な味方となるものなのである。
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