青年一人きりのサバイバル

サバイバルの手法の一つ一つについては今までに色々と語ってきたが、個々の技術についてのものが多かったと思う。が、サバイバルはそれらの技術が全体的に機能することが重要である。

今回紹介する動画は、一人でのサバイバルを実演している。まずシェルターを作り、弓錐で火を熾し、水を川から得て、無事に2泊3日すごしている。

シェルターは岩肌を利用したシェルターで、上半身裸になるくらい暑い時期だが、そこそこ涼しいようである。

また、火を熾すにあたって、ガマの穂を火口に使っている。初めは斧と石を打ち合わせて火花を得ようとしたが、難しかったようで、より確実な弓錐での発火に切り替えた。しかし、それもなかなかに手間取り2時間ほどかかったようである。

水を川に求めたときには彼は自らの脱水症状について語る。キャンプで2日間にカップ2杯の水しか飲まなかったとき、3日目にはひどい目眩と吐き気に襲われたそうである。

その後、自然のベリー類を採取などし、日を終えた。

彼は2泊を無事に終えたが、それ以上となるとどうなるかは分からない。けっして、英雄的なサバイバリストではないからだ。

これらを見ると、全体としてのサバイバルの厳しさが見えてくる。

練習が足りないと、必要なときに火を得ることができず、多大な労力を必要とする。また、シェルターは構築に時間がかかり、早く始めないと日が暮れてしまう。水だって動画ではきれいな川があったからそのまま飲むことができたが(しかもきれいに見えても飲用に危険な場合もある)、危険な場合には沸かす手間もある。食料についても、細かく触れては居なかったがレクリエーション程度の量の様である。

これのみで生活するにはかなり不十分であり、また労力がかかりすぎるのである。これは特殊な訓練を受けたわけではない人間であれば当たり前のことであるのだが、だからこそ一つ一つの技術を確かなものにするため、レクリエーションとして練習するのが良いし、また適した道具を持つことでより労力を少なく効果を大きくするのが重要なのである。

乾パンのススメ

非常食として一般的で、また大変優れた食品といえるのが乾パンである。広く一般に広がり、また入手も大変にしやすく価格も安いので大変準備しやすい。

乾パンは重量あたりのカロリーが十分に高く、背負って移動するのにちょうどよいから非常持ち出し袋や、もしくは通勤通学のかばんなどに一袋くらい入れてもいいかもしれない。おおよそ100gで400kcal以上のカロリーがあり、また炭水化物だけでなく、たんぱく質や脂質も含まれており、当座の栄養としては十分な量を持っている。

一日に必要なカロリーを2000kcalとすると500gの乾パンが必要であるが、これが生米であると570gほど必要である。乾パンは調理不要であるが軽量で重量比のカロリーが高いのである。すばやい行動を必要とする緊急時には大変良い性質といえる。

また、スーパーの菓子コーナーに乾パンが置かれていることもあるように、乾パンは間食として消費しやすい食品である。それにより、日常的に消費し、入れ替えることができる。このような入れ替えを行っていれば、高価な保存期間の長いものを買う必要はなく、保存期間がさほど長くない安価なものでも十分に備蓄食料として利用できる。

ただし、乾パンもいいことだけではない。まず乾パンそのものに含まれる水分が少ないため食べていると口が渇くという問題がある。ただでさえ日本人は唾液が少なく食べるときに水分が少ないと食べにくいそうだが、乾パンほど水分が少なく、また脱水気味になりやすい緊急時には大変に食べにくくなることもある。そのため、缶詰の乾パンやもしくは袋でも氷砂糖や金平糖などがつき、それをなめることで唾液を分泌しやすくするような措置がとられている。

また、乾パンの保存は乾燥によってなされているから、一度封を開けたら、早く食さないと風味や食感はもちろんのことであるが、カビなどの不安も増大する。加えて、サクサクとした食感を生み出す乾パンの構造が逆に空気中の水分を吸収しやすく作用し、いわゆるしっけやすい食品でもある。

どうしても長期になれば調理の必要となる様な食品の機能性や味がアドバンテージを得てくるが、短期であれば保存性と簡便性、そして味と栄養の面からも乾パンは大変優秀な食品である。乾パンは備蓄だけとしているかたも、日ごろから乾パンを食べてみて、日常に取り入れてみてはいかがだろうか

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簡易で効率的な焚き火の1つハンターズファイア

焚き火をするのには色々な方法がある。穴を掘ったり、石を積んだりといった方法は火を安定的に維持し、また鍋などの調理器具を置きやすくしたりするために行う。

一方で、木だけで焚き火の場所を形成する方法もある。例えばスウェディッシュトーチ系の方法では、割った木だけで構築し、それでいて調理等の便利もよいものが多い。

どちらにしても共通するのはそれなりの前準備が必要という点だ。そもそも焚き火自体が前準備が重要なものであるが、それに加えて一手間かかるものである。

一方で、かなり割り切って簡素化した方法もある。これは、短時間の火でよく、また大規模な炎はいらないという状況で十分に活躍する方法だ。

動画ではハンターズファイアと呼んでいるこの方法は、ちょっと太目の枝をへの字型に並べてその間で火を焚くものである。太い枝が炉の役割を果たし、小枝の燃焼を助けている。空気はへの字の開いた部分から、また枝と地面の間からも入り、十分な空気の流入が燃焼を助けている。

もちろん炉の役割をしている枝も燃焼するが、コーヒー1杯沸かす程度の時間ではほとんど燃焼することはないようだ。さすがにこの程度の規模では数時間の燃焼で暖をとるような用途には向かないが、短時間、簡易に暖をとり、調理する程度の利用であれば、簡便で手軽に用を足すことができるので便利なテクニックであろう。